西紅柿 吵 冗談

≪ 続きです ≫

タマは以前はよく、庭の囲いをくぐって逃走していたけど

今回は、体が勝手に動いてしまったのだろう。

もう、耳も目も鼻も、ほとんど利かなくなっているので

どこで何があっても不思議じゃない。

普段の歩き方からして、そんなに遠くへ行かれるはずもないのに

家の周りの道路やら側溝を見て回ったけど、見つからない。

西紅柿はもう、半べそ状態で探していると

駐車場の入口の側溝の中で、白いものが動いているのが

分厚いコンクリート製の蓋の隙間からチラっと見えた。

そこは、蓋をしていない部分から３～４ｍ奥なので、到底手は届かない。

蓋を外そうにも、西紅柿の力では、とてもムリ。

このまま、配偶者が帰ってくるまで待とうか、とも思ったが

とにかく、何かできることはないかと考え

蓋と蓋の隙間から、竹の棒でタマを突いて、入り口に誘導してみた。

棒を差し込む隙間の位置を何回か変えていくうちに

やっと、タマの頭が出てきたので、そのまま引きずり出すと

頭やら体は汚れていたけど、怪我はなかった。

たぶん、サークルから出てしまい、そのまま道路に出て

ヨタヨタしているうちに側溝に落ちて

訳もわからず、蓋の下にもぐってしまったのだろう。

とにかく、事故でなくてよかった。

家に入れて、体を拭いてから好物のかりんとうをやると

何事もなかったかのように喜んで食べた。

西紅柿はその後しばらく、脱力状態だった。