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カテゴリ:季節行事
実家のお墓参りに行ってきました。
この辺りでは、お墓参りは8月1日と決まっていて お墓を管理している 「 本家 」 の人間が事前に掃除をしておき お墓参りの当日は、一族郎党集まってお参りした後 「 本家 」 で一席設けられます。
うちは集まるほどの郎党もいないので 毎年、西紅柿一人でお参りしてきます。
うちのお墓は、集落を見渡せる小高い山の中腹にあって 細い山道を上り詰めると、賑やかなせみ時雨が迎えてくれます。
お墓掃除は春に済ませてあるので、軽く迦陵塔(かろうとう)を洗い 全部の墓標に花を飾って線香を手向け 父の好きだったお酒を、迦陵塔の上からかけ流す。
墓前にしゃがんで手を合わせ、目を閉じると 子供のころ、一家総出でお参りに来たことなどが思い出される。
せみ時雨は更に勢いを増して、時折強弱をつけながら 降るように、湧き上がるように、山全体に響き渡り せみの声以外の音は何も聞こえず 立ち込める線香の煙と、セミの声とに包み込まれていると 自分が人間なのか、セミなのか、一瞬意識が遠のきそうになったとき 迦陵塔のわきに立てられた卒塔婆に セミの抜け殻が着いているのが見えた。
セミは、7年間を土の中で過ごした後 地上に出てきて、わずか7日間で一生を全うするという。
きっと、少しでも高いところから
なんて思いながら見ていると 数枚重なった卒塔婆の隙間に、何か挟まっている。
近寄って卒塔婆を開いて見ると それは、セミの 「 抜け殻 」 ではなくて セミそのものが干からびて、カラカラになったものだった。
きっと、土の中から出てきて脱皮した時に 何かの拍子に卒塔婆の隙間に挟まったまま 動けなくなってしまったのだろう。
やっと地上に出てきたのに 飛ぶことも、鳴くこともできなかったなんて。。。
今日は迎え盆。
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