カテゴリ:銀輪万葉
(承前)
前頁の記事の万葉の小径の万葉歌碑の続きです。 万葉歌碑9のクワの歌の歌碑からです。 (万葉歌碑9 くは クワ) 筑波嶺の 新桑繭の 衣はあれど 君が御衣し あやに着欲しも (万葉集巻14-3350) 高の原駅を出てすぐの処で出会ったエゴノキ第一歩道橋がどういう経緯で命名されたのかは存じ上げないが、その名を見て思い浮かんだのは、大伴家持の歌のことでありましたが、その歌の歌碑もありました。大汝少彦名の 神代より 言ひ継ぎけらく 父母を 見れば尊く 妻子見れば 愛しく愍し うつせみの 世の理と かく様に 言ひけるものを 世の人の 立つる言立 ちさの花 咲ける盛りに はしきよし その妻の児と 朝夕に 笑みみ笑まずも うち歎き 語りけまくは 永久に 斯くしもあらめや 天地の 神言寄せて 春花の 盛りもあらんと 待たしけむ 時の盛りそ 放りゐて 嘆かす妹が いつしかも 使ひの来むと 待たすらむ 心不楽しく 南風吹き 雪消溢りて 射水川 流る水沫の 寄るへなみ 左夫流その児に 紐の緒の いつがり合ひて にほ鳥の 二人並びゐ 那呉の海の 沖を深めて 惑はせる 君が心の 術もすべなさ (大伴家持 万葉集巻18-4106) (注)上の長歌は、下記<参考>の過去記事に掲載のものをコピーして貼り付けましたので、写真の歌碑のそれとは文字使いが一部異なっています。 <参考>エゴノキの花が咲き始めています 2023.5.2. (万葉の小径案内図2) 万葉の小径案内図2にはこの場所の地理的位置が説明されていて参考になります。文中記載の押熊、音浄ヶ谷、歌姫などの瓦窯跡などは未訪問であるが、機会があれば訪ねてみることにしよう。 (万葉歌碑11 たへ コウゾ) 春過ぎて 夏来るらし 白栲の 衣乾したり 天の香具山 (持統天皇 万葉集巻1-28) (万葉の小径の標石) 万葉の小径の南側にも木立越しに道が並行していて、それと小径とをつなぐ路にも万葉の小径という標石が設置されている。 (万葉の小径) 万葉の小径は、上の写真の奥辺りまで緩やかな上り坂でその先からは緩やかな下り坂になっている。 右側に見えるのが万葉歌碑。その向かい側のベンチにはその天端両端に歌碑陶板が埋め込まれている。 (万葉歌碑12 あしび アセビ) 池水に 影さへ見えて 咲きにほふ 馬酔木の花を 袖に扱入れな (万葉歌碑13 やまぶき ヤマブキ) 山振の 立ち儀ひたる 山清水 酌みに行かめど 道の知らなく (万葉歌碑14 くり クリ) 瓜食めば 子ども思ほゆ 栗食めば まして偲はゆ いづくより 来りしものそ まなかひに もとなかかりて 安眠しなさぬ (山上憶良 万葉集巻5-802) (万葉歌碑15 しひ シイ) 家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る (万葉歌碑16 さかき サカキ) ひさかたの 天の原ゆ 生れ来たる 神の命 奥山の さかきの枝に 白香つけ ゆふとりつけて 斎戸を いはひほりすゑ 竹玉を 繁に貫き垂り 鹿猪じもの ひざ折り伏せ 手弱女の おすひ取り懸け かくだにも 吾は祈ひなむ 君にあはじかも (大伴坂上郎女 万葉集巻3-379) (注)下記<参考>の過去記事に掲載のものをコピーして貼り付けていますので、写真の歌碑のそれと文字使いに異なる部分があります。 <参考>高岡銀輪散歩(その6) 2012.6.28. (万葉歌碑17 たちばな コミカン) 橘は 実さへ花さへ その葉さへ 枝に霜降れど いや常葉の樹 印刷した陶板を貼り付けまたは埋め込むというのは、石に文字を刻する通常の歌碑に比べれば、手軽で安価、手っ取り早くはあるけれど、耐久性には問題があり、割れてしまったりして文字が読めないというものもある。 酷い状態になる前に新しいものに取り替えるなど、維持管理をしっかりして欲しいものですが、費用もかかることですからどうなるものやら。 (解説碑 万葉人の衣食住) この付近から小径は下り坂になっている。 (万葉の小径 ゆるやかに下っている。) (万葉歌碑18 かしは カシワ) 稲見野の あから柏は 時はあれど 君を我が思ふ 時はさねなし (万葉歌碑19 まゆみ マユミ) 南淵の 細川山に 立つ檀 弓束纏くまで 人に知らえじ (万葉集巻7-1330) (万葉歌碑20 つき ケヤキ) とく来ても 見てましものを 山背の 高の槻群 散りにけるかも (万葉歌碑21 うのはな ウツギ) 霍公鳥 来鳴き響もす 卯の花の 共にや来しと 問はましものを (万葉歌碑22 さくら ヤマザクラ) 梅の花 咲きて散りなば 桜花 継ぎて咲くべく なりにてあらずや (偐家持) ということで、残りの歌碑14基ありますが、これらは明日以降の記事にて紹介します。(つづく) <参考>銀輪万葉・奈良県篇の過去記事は下記参照。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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