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カテゴリ:日本酒、酒蔵めぐり
山形の山々はすっかり雪化粧してます。
こんな時期に月山越えをするのはかなり大変なのでは?? なんて思いながら、楽しみにしていた竹の露さんへ蔵仕事を見学 しに、1泊2日してまいりました。 この蔵の相沢さんとの出会いは、鶴岡でのきき酒選手権で、とても うまみのある酒を造るのが特長です。 全国新酒鑑評会、東北清酒鑑評会、山形の鑑評会でさらには 全米歓評会でもすべて賞を総なめにした蔵です。 酒造好適米の王様山田錦ではなく、 山形県羽黒産出羽燦々で挑みすべて賞を取ったというものすごさも あります。 その秘密をさぐるべく1度ならずも2度もおうかがいしています。 6日の夕方につき、早速麹室へ。ちょうど積み替えの時間帯でした。 酒用の麹ができるまでは3日かかります。 1日目は出来るだけ温度をあげないようにし2日目から一気にあげ 最も旨味を生成することができる糖化酵素を造るように仕向ける。 麹をつくるのには様々な方法があります。代表的なものは ・蓋麹製法→大吟醸などに使う麹を造る方法。木製のおぼん (縦20cm横40cm高さ5cm程度)のようなものに 盛り、麹菌の繁殖を促進する。 ・天幕式→普通酒~吟醸などに最も多く使われる製法。木製の おぼんの拡大版。麹の上を布で覆い温度調整をする。 ・自動製麹→手作業を極力減らし、自動で切り返し等を行う方法。 竹の露さんではちょうど大吟醸の仕込み時期でもあり、蓋麹および 天幕式の麹造りを行っていました。 2時間~3時間おきに麹の温度、室温、湿度をチェックし 麹室の温度の調整だけではなく、麹に対して布をかけたり、蓋を 積み替えたりといった作業をほどこしてやるのです。 麹は生き物で、日本酒造りには最も重要な工程。 昨年の実績、今までの実績などを踏まえ、麹を最もよい状態にするため のデータが蓄積されておりその中で蔵人が作業をする。 経験と実績が自信となり、翌年の酒を造るための下地となる。 1つの芸術品をつくりあげるための仕事、あこがれますよね。 次に明日仕込む米の給水調整を行っているところにいきました。 今朝給水したお米の重さを計り、給水率を割り出す。 ここにも全て目標値があり、最良の給水をさせるため、水分を蒸散 させたり給水させたり1日をかけて調整をしていました。 給水したお米は、真っ白なキレイな粒になっています。 次は麹室へ、17時中仕事の時間帯です。 2日目の蓋にもった麹の温度ムラ、湿度ムラを調整するためにかき 混ぜる作業です。 麹は自己発酵熱で温度がどんどん上昇します。 それをうまく調整し、均一な麹をつくりあげるための作業です。 最後に布をかけて終了です。室温37~38℃での仕事、汗がでてきます。 白っぽくなっている部分が麹が繁殖してきている部分です。 これが3日目の麹が出来上がる頃には真っ白くなります。 夜は、近所のおすし屋さんでご馳走になりました。 庄内の魚介類などのお寿司はとても美味しく、そして一緒に飲んだ 竹の露「遊」が最高でした。 私はこの仕事をはじめたきっかけや山形のお酒をもっともっと全国 へなんて思いを聞いていただきました。 21時30分 蔵へもどり麹の温度をチェックし、次のしまい仕事まで待機です。 こちらのお酒をいただきながら、刺身を食べお酒の味について、 名前の由来などについておうかがいしました。 14年前相沢さんが蔵に入ったとき、からつけた新しいブランドが 「白露垂珠」 白露 珠(たま)を垂れて 秋月に滴(したた)る 自然のすばらしさに感動した李白が七言律詩のなかで読んだ句 だそうです。 白露(はくろ)とこの地方の羽黒(はぐろ)の語呂が よく、自然の恵みをふんだんに使い地元産のお米だけを使い造られて いるこの蔵の地酒とよくマッチしたネーミングだと思います。 竹の露という由来もこの蔵の裏手には竹林があり、竹の露のように みずみずしい清らかなお酒 というイメージがありますよね。 いただいたお酒は、 白露垂珠寒造り純米新酒(2004年) 白露垂珠特選純米酒美山錦(2003年) 純米大吟醸白露垂珠改良信交、亀の尾(2002年) 昨年の新酒は生の状態で保存されていたので、 生のひね(私は豆の香りのように感じます)がありそれを体感しました。 俗に言う生ひねは、香りと味が分離している場合が多くありますが、 これについては全くなく、バランスがいい感じがありました。 バツグンにうまいのは、 純米大吟醸白露垂珠改良信交、亀の尾(2002年) 相沢さんがおっしゃってましたが、昔からの酒米は長期保存した ほうが味がのってくるとおっしゃっていました。 まさにまろやかさがのってきている感じです。おそれいりました。 22時30分仕舞い仕事です。 私も少しだけお手伝いをさせていただきました。 蓋に盛った麹を均一に攪拌し、まるで京都の龍安寺の石庭のように、 4本の筋をつけて出来上がりです。 素人の私は全くもってできませんでしたが、とてもいい経験にな りました。30分ほど仕事をし、就寝。 2:00 3:30 5:00と積み替え作業が入ります。 40℃ラインをキープし、もっとも重要な酵素を多く獲得する時間帯 です。 自己醗酵熱で麹菌の働きが鈍るおそれがあるので、この時間帯を作業 をきっちりと行わなければなりません・・・ しかし、私は全くおきることができませんでした・・・すみません。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ <2日目> 一昼夜かけ2日目の出来上がった麹は、出麹室へとうつります。 朝食を相沢さんのご自宅でいただき、8時からの作業です。 1日目の寝かせた麹を蓋に移し変えました。 昨日2日目の夕方の麹と比べると、まだまだ麹菌が繁殖している 白っぽいのがあまりみえません。 でもこれが夕方になれば白っぽいのが出てくるのですね。 次は蒸しあがったお米を運んで放冷します。 この蒸し米は、仕込み用と麹用にわかれます。 大変な作業工程があります。 麹を作る、仕込みをする、米を浸す、蒸すなどなど、全てタイム スケジュール通りに作業を進めます。 1日半お世話になり私が感じ竹の露さんの強みは、 ・データの蓄積 ・分析力 ・米と水の性質の把握 だと思いました。他の蔵でも行っていることだと思いますが、1つ1つ の作業には必ず裏づけがあり、それを追求することで全てデータ化し それ通りに作業を進めること。全ての重さを量り、給水率、温度湿度 などの管理などなど。 それが、データ蓄積と分析です。 そして、米を作っている方々が酒を造っているから米の性質を理解し、 「低アルカリ完全無菌超軟水」 を使用しているからこそあのまろやかな味が出てくるのでしょう。 まるごと山形では この新酒の時期より、白露垂珠がスタートです。 どうぞお楽しみに! 竹の露さんの蔵仕事にご興味を持っていただいた方は こちらをクリックお願いします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Dec 11, 2005 03:33:51 PM
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