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カテゴリ:日本酒、酒蔵めぐり
この日は山形県酒造組合主催の日本酒学校公開講座がありました。
私も昨年度の日本酒学校卒業生。今年のテーマは 「日本酒と楽しむイタリアン&スイーツ」ということもあり興味津々で行ってみました。 講師の手島麻記子さんは日本酒スタイリストとして活躍されている方です。 2001年イタリアスローフード協会主催のチーズフェスティバルに日本酒を持ち込んだのがきっかけとのこと。 日本酒自体知られていないイタリアで、飲み方が樽から升について飲むスタイルが珍しく、多くの人が集まったそうです。 その中で「どんな料理と合うのですか?」という質問をよくされたそうです。 ワインの本場イタリアでは、木の香りがついたお酒には違和感はなく樽酒が好まれたそうですが、 家で楽しむワインと同じように 「自分の生活(食生活)の中でどのようにして楽しむか?」 がイタリアの人にとって興味があったところだそうです。 日本酒があまり飲まれなくなった日本では、都会での日本酒の楽しみ方は 飲み屋さんで飲むスタイルが多くなりました。 ただ、東北地方や信越、北陸では酒どころだけあってまだまだ家飲みスタイルが多いようです。 イタリアでは日本の酒どころと同じように家でワインを楽しむことが多いようで、普段食べているものとはどのようにあわせて楽しむか? それが、ワインの楽しみ方です。 日本酒と料理の相性についても興味深い話を聞きました。 日本酒を飲むときってどのように飲むか? 1.食べ物を飲み込んでから日本酒を飲む 2.食べ物を口に含んだ状態で日本酒を飲む このように2つのパターンが必ずあり、1番と2番の割合はおよそ8:2だそうです。 この食べ合わって様々な感じ方があり、1と2では大きく違いますよね。 日本酒は料理の後味を日本酒で洗い流すいわゆるウォッシュ効果が強く、ワインのようにハーモニーを楽しむ部分は少しづつ広がっていくのではないかと思います。 ちなみに私は1番で、どうしても日本酒と食べ物は別々に楽しんでしまいます。 それでも味が濃いものにはこのようなもの、油ものにはこれ、塩味が強いものにはこれ、など様々組み合わせています。 さて、日本酒とイタリアン&スイーツの組み合わせについては興味深いものがありました。 【日本酒とイタリアン】 大吟醸系と生ハム⇒塩味のきいたものとの取り合わせがよい。 確かに白身魚の焼いたものやししゃもなどは最高です。 ちなみに柑橘系のレモンやすだちを搾った魚などとも とても相性がよいようです。 生酒、生貯蔵酒系とピッツア ⇒やわらかく滑らかな生酒がいいそうです。 イタリアでもピザにはビールが定番なので、発泡系の生酒なんかもいいかもしれません。 純米酒系とポルチーニのフリット ⇒コクとキレのある純米酒。 ポルチーニは食べたことがありませんが、クリーミーで濃厚なきのこだそうです。 塩をつけて食べるようで、寒鱈のきくわたの天ぷらなどがぴったりだと思いました。 ウォッシュ効果が合うようです。 梅酒系と鴨のロースト ⇒肉独特の臭みをフルーツ系ソースが調和させてくれるのと同じように、 梅酒の酸味、香りがとても相性がいいです。 【日本酒とスイーツ】 チーズケーキと発泡酒⇒ 瓶内二次醗酵のものがよいようです。 甘めのものにはサッパリとしたものがいいですね。これは美味しいと思います。 今年の正月におせちと発泡日本酒を楽しみ、一升瓶開けました。 生酒・生貯蔵酒と生クリーム系スポンジ⇒ フレッシュ感のある生酒、生貯蔵酒がよいようです。 特にアルコール度数が低いものがよさそうですね。 大吟醸とマカロン(シトロン風味)、レモンタルト⇒ やはり柑橘系と大吟醸の相性はよいようです。 甘いものでも、さわやかにしてくれます。 山廃純米とチーズ(オッソイラティ)のブルーベリージャム添え、 ビターチョコレートケーキのシーソルト&ペッパー添え⇒ 複雑な酸味のある山廃には個性的な味のものを合わせても相乗効果がありそうです。 豆腐の味噌漬けや塩辛などにもあいそうです。 山廃はぬる燗がいいそうです。クリーミーでまろやかな山廃の香りがと酸味をちょっと残す 味わいがいいんでしょうね。 私は日本酒を飲むようになって、食べ物についても素材の味をしっかりと感じられるように なったような気がしています。 味が濃くないヘルシーな日本食には純米酒が本当にあうんですよね。 ぽん酢よりも醤油のほうがまたよくあいます。 様々な食べ合わせは好みもありますが、私もこれからもいろいろと食べ合わせを試してみたいと思いました。 最後に京都大学伏木教授の面白い話を紹介してくださいました。 おいしさについて4つの分類がある。 1.生理的(おなかがすいているとき) 2.食文化的(普段食べなれている習慣的なもの) 3.情報的(新聞やテレビなどを含めた情報) 4.本格的(食味がいいもの) 2と3は人間とサルがわかるもので、脱味覚といっていました。 面白い分類だなとおもいつつ、2と3の影響によってかなり日本酒の消費量って増えるのではないかとも思いました。 首都圏の家庭に8割以上は徳利がないそうです。 以前は燗を番する、お燗番が必ずいましたが今は飲み屋さんにも燗番娘?はなかなかいません。 食が多様化しているなかでの日本酒は、日本食との組み合わせにとらわれず、もっともっと普段の食事との取り合わせを提案すれば少しづつでも広がるのではないかと思います。 また、それにあわせて酒器の多様化も必要ですよね。 イメージつくりも考えなければならないと思いました。 工業製品ではない、醗酵食品の日本酒。 日本の文化日本酒、家庭の食卓の第一番目にくるお酒が日本酒でなりえるよう、少しづつでも何か提案が出来るようにしたいと思った講演でした。 手島先生の話は本当に興味深かったです。ありがとうございました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 16, 2007 12:46:29 PM
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