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カテゴリ:日本酒、酒蔵めぐり
10/7の蔵見学の続き・・・
秋田五城目から南下すること約100km、横手近くの浅舞にある天の戸さんにおうかがいしました。 天の戸のお酒はカップ酒と辛口のお酒を飲んだことがあります。 この日はお休みのところわざわざ杜氏の森谷さんが案内してくださいました。 本当にありがとうございます。 天の戸の由来は日本書紀に登場する天の岩戸からきています。蔵元が神党だからその名をつけたとお聞きしました。 概観はこんな感じ。なぜか看板が縦文字です。 天の戸は今までに見たことのないくらい不思議ワールドの宝庫です! (天の戸の不思議その1) 建物よりも木が大事?? 正面玄関の木をご覧いただければ、どうしてここに木が立ったままか不思議です。 普通であれば建物を建てたときに切ってしまうところですが、こんなに隣接して建っているのです。 森谷さんいわく 「蔵元がもともと木を大事にしていて、建物を木にあわせて建てている」 とのこと。 正面の蔵も裏の蔵も建物が変形していて、木がまっすぐ伸びています。 特に裏の蔵はまるで建物から木が生えてきたみたいです 木に神が宿っているという考え方なのだと思います。うーん面白い! そして (天の戸の不思議その2) 工夫を凝らした道具たち 森谷さんいわく 「うちの蔵は貧乏で、なんでも自分達で作ってるんです」と。 まずは、槽(ふね)に圧をかける操作レバー。 槽はほかの酒蔵から格安で購入したものが3台。 まるで農機具のシフトのようです。 誰でも扱えるようにと工夫した機械です。 そして、次に洗濯乾燥室。 米を蒸すとき、蒸し米を運ぶとき、麹を造るとき、それぞれの工程で布は必要です。 毎日毎日使わなければいけないものを清潔に保たなければならないのです。 ただ、お酒の造りの時期は冬場のため乾かすのが大変。 そこで乾燥室を作りました。しかも物干し竿が可動式! 前に引き出して、物干しができる仕組み。いやいやすばらしいです。 麹室にもすごい仕掛けが・・・ 手動と自動に切り替えられる温度調節装置。 蔵人の夜間の仕事を軽減できるように開発したそうです。 「日中の作業にきめ細かく対応できるよう、夜間の仕事は極力減らす」 そういった考えの下での様々な道具の開発。 蔵人全員が相談し、均一的で楽に仕事ができるよう、そしてお金がかからないように様々なところに工夫をしているところ、関心しました。 全ての道具が総工費数千円~数万円とおっしゃっていました。 ちなみに使用する酒米も全て秋田県産。 左から美山錦、秋田酒こまち、亀ノ尾、星あかり、美郷錦、吟の精 山形発祥の酒米、亀ノ尾は、新潟で改良されたものが現在秋田にあるものだそうです。 野毛が異常に長く、穂が実った秋に雨が降ると白く光るように見えるそうです。 (天の戸の不思議その3) 豊富な湧き水 大曲の花火大会の会場としても有名な秋田を流れる雄物川の支流、成瀬川の扇状地の端に位置するこの蔵では湧き水が出てくるとのこと。 奥羽山脈に降り注いだ雨や雪が2~3ヶ月へて蔵まで到達、懇々と湧き出る軟水を利用し酒を造ります。 井戸の透明度は本当に高く、底まできれいに見えました。 裏庭の池には無数に気泡が上がるところがあり、いばらとみよという綺麗な川にしか生息しない魚がすんでいるそうです。 山形でも天童や村山で生息しています。 秋田県は全国でも有数のどぶろく生産地。いわゆる自宅でお酒を勝手に造っている方が多かったそうです。 天の戸さんがある地区にはもともと酒蔵がなく、大正時代までは南の湯沢や北の六郷あたりからお酒を買っていたとのこと。 そこでここの蔵元が、地元でお酒を造ろう!ということで山手の山内のほうから冬の出稼ぎに労働者を連れてきたとのこと。 天の戸では特に厳しい仕事をしてもらっていたそうですが、山内では様々な人たちが様々な酒蔵に出稼ぎに行ったおかげで、お酒造りの技術が伝達継承され、山内杜氏という集団になっていきました。 そういえば齋彌酒造店の高橋杜氏も山内出身だとおっしゃっていました。 そんな話を聞きながらあっという間に1時間半近くも聞き入ってしまい、その後はなんとすばらしいご馳走をいただきました。 粕汁と粕漬けです。車運転のため粕漬けは断念・・・ 粕汁だけいただきました。コレがまた杜氏の森谷さんの人柄を思わせるようにやさしく、繊細な味わいで美味しかったです。 はじめて粕汁が美味しいと感動しました。 お酒も様々出していただき、運転者ではない皆さんは美味しい!と飲んでいました。 飲めないのが残念と思いつつ、山形に帰らなければいけない時間と皆様より先にかえりました。 森谷さんのすばらしい話、そして蔵の思いを聞き感動。 ぜひ造りの時期に一度お邪魔したいと思いました。 しかも最後に遅ればせながらご挨拶で名刺をお渡ししたところ・・・ なんと私のブログを見たことがあったそうです!!!感動しました。 上喜元佐藤正一さんと小関さんに先日うかがった旨をお話しておきました。 森谷さん本当にありがとうございます。またぜひぜひよろしくお願いいたします。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ さてさて後日秋田土産のきりたんぽと純米吟醸天の戸ひやおろしを飲みました。 精米歩合50%16名の生産者が作った美山錦で醸したひやおろし、酵母はAK-1という花酵母由来の秋田県の酵母です。 しっかりとした骨格があり、しかも酸味と香りの立ち方が絶妙なお酒。 これぞ飲みたかったひやおろしです。旨いお酒です。 今年もまた2蔵めぐってきましたが、本当にステキな出会いがあったと感謝しています。 山形とはまた違ったよさがある秋田のお酒と酒蔵の方々、本当にありがとうございます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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