カテゴリ:ちょっといい話
前回の日記で龍野市の霞城館を訪ねた話を紹介し
たが、その霞城館で三木露風の生涯や作風に何故か 惹きつけられるものを感じた。 その後姫路に戻って地元の図書館で調べていたら 「三木露風-赤とんぼの情景」 和田典子著の本を見 つけた。 露風は5歳のときに両親が離婚し、祖父方に養育 されているが、母であったカタは優しい母で露風の 幼い頃(本名 操)に本を読んだり、絵を描いたり して、龍野の自然に触れさせて豊かな情操教育を 施したらしい。 その優しい母と5歳で生き別れになったことが その後の露風の人格形成や詩の作風に多大な影響 を与えた。 三木露風の詩は世間から当時難解であると 揶揄されたのであるが、「三木露風・・・」では、彼の生 い立ちや龍野の自然を背景に作られた彼の詩を 細かく分析し言葉の裏に隠された心象をものの 見事に解き明かしてくれている。 特に第4章の赤とんぼの唄に秘められた 心情、母を暗示させる表現など随所に散り ばめられた技巧を解説している部分は圧巻で ある。赤とんぼの唄に盛り込まれた作者の思い の大きさを感ぜずにはいられなかった。 詩とは、その背景を知らずに言葉だけを追って いくと語彙力や洞察力の低い人間にとっては 作者の意図する心情とは無縁の世界を標榜 するはめになる。 しかしこの本を読んでいると 推理小説の謎解きの部分を楽しんでいるかの ごとく的確に作者の意図が伝えてくれている。 こういう本がありがたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009.01.23 09:36:17
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