カテゴリ:ちょっといい話
この本は4つの短編から構成されるのであるが
どの小説もインパクトの大きい珠玉の作品集で あると思う。特に表題と同じ小説については僕に とってインパクトが大きかった。 主人公の気弱な性格、学生時代の恋人との別れなど 私の人生とかぶるところが多々あって冒頭からどん どんと小説の中に引き込まれていった。主人公の正平は 将来を約束していた彼女から詐欺まがいの裏切りを 受けて別れるのだがその後その行為は彼の将来を 真剣に考えた結果であったことが分かってくる。 この小説の中にポイントとなる「先生」が主人公に いろいろ教示的な言葉を与えるのであるがその一つ 一つの言葉が重く読者に語りかけてきて人を真剣に 愛することの意味を深く考えざるを得なかった。 久々に小説を読みながら自分の人生について考え させられるひとときだった。ラストシーンの主人公 の言葉と元恋人の反応には思わず目頭が熱くなった。 蛇足であるが僕は以前から恋愛小説は苦手だった。 どうも小説の中の主人公はごくごく簡単にヒロインと 恋仲になってしまうきらいがあり、現実はそう簡単 にいかないじゃないかと反感を覚えてしまうからで ある。ところが最近になって恋愛に対する主人公の 考え方の潔さ、思惑通りにいかない関係などリアリティ を持った小説が多いことに気づいて以前ほどのアレ ルギーは薄らいできたようだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.04.21 09:43:18
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