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2012.11.29
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 『人と人をつなぐー詩人会議の50年』というアンソロジーができました。詩人会議創立以来最も参加者の多い(70%)528頁の大冊となったそうです。

 私も拙い詩を載せ参加させていただいています。

 厚さ7~8センチになろうかという大冊、これからじっくりと読んでいこうと思います。

 

 再掲致します。

 

   陸前高田のうごく七夕祭り

     ーNHKスペシャル「東日本大震災 東北の七夕祭り」を見てー                        

 

 

 

   太鼓がドドーンと響く

 

   その太鼓は奇跡的に瓦礫の泥の中から見つかった

   みんなを祭りに駆り立ててくれた天からの恵み

 

   笛の音が鳴り渡る

   七夕飾りの美しい装いの山車のやぐらで

   太鼓の撥を思い切り振り上げ 思い切り叩く

 

   去年撥を握っていた太鼓の名手は波にさらわれ

   今のたたき手の父と母と妹も波に飲まれ

   幾多の魂に届けよと

   次第に強く 時には弱く

 

   ドンドン ドドーン

   ドンドン ドドーン

 

 

   山車の手すりには名手の半纏が

   遺影も飾られる

   亡き友と共に叩く太鼓の音色

 

   ドンドン ドドーン

   ドンドン ドドーン

 

   山車を引くのは子供たち

   足りない分は年寄りや女達も引っ張る

 

   見物人のお婆さん

   風呂敷からお爺さんの遺影を出している

   「好きだったんだよ。山車を見るのが」

   叶わなかった夢を叶えさせようと

 

   山車は家並から瓦礫の積まれた荒れ地に入る

 

   かつては人出で賑わい

   笑い声が絶えなかった町

   子供たちが走り回っていた町

 

   今は荒野が果てしなく広がり

   視界を遮るのは瓦礫の山ばかり

 

   この変わり果てたがらんどうの町に

   山車の太鼓と笛と掛け声が響く

   いつもは観光客で賑わう七夕祭りだが

 

   「かえって静かに魂を鎮められた」

   「やっぱりやってよかった」

   「これで一歩前に進める」

 

   知らず知らずのうち

   人々の目から溢れる大粒の涙

   目の前に広々と広がる海を見つめ

   様々な想いがよぎっていく

 

   大分日が傾いて

   うっすらと靄のかかった海へ向かい

   いつまでも黙祷を捧げる

 

 

 

 






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Last updated  2012.11.30 00:55:41
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