テーマ:☆詩を書きましょう☆(8464)
カテゴリ:詩
震災を乗り越えて
白い山茶花が薄暮の中へ消えていく 次第に朧に 形を無くして それは人の手で何ともなし得ない
あの時と同じなのだ 大波にのみ込まれふと気が付くと 繋いでいた坊やの手が すっと離れて遠くへ 叫んでも泳いでも 波に逆らうことが出来なかった いつの間にかどこにも見えなくなった
自分を責めた なぜ助けなかったの 坊やが死んだのは私のせい 手と手をもっとぎゅっと握っていればよかった 繰り返し思い起こす汚れた 海 波
生きる希望を失った 坊やが波にのまれる瞬間が悪夢のように蘇り 時間がその先を歩いてくれない 仮設住宅で 何カ月屍のように横たわっていたことだろう 坊や 坊や と呟きながら
ある日 ボランテイアの女性が赤ちゃんを負ぶってきた 人々の心を太陽のように照らす笑顔 赤ちゃんの笑顔は私の無事を喜んでいる 赤ちゃんはいつの間にか私の坊やになった
そうだ坊やはいつも私の側にいる いつも私をしっかり見ている 坊やが自慢できる母さんにならなくてはね 一番信頼できる母さんにならなくては
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