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2018.09.08
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    みんなの肌は南瓜色になっていった          

 

戦時中 裏山に火薬庫があった

誰も近づけない危険な場所だったが

戦争末期には壊され 庶民に土地が切り売りされ

飢えを凌ぐ家庭菜園となり 野菜が作られた 

その噂を聞いた我が家もその土地を借り

玉蜀黍や薩摩芋を育て主食代わりの水団(すいとん)にした

 

裏山には切通しの坂が出来

坂を登って野菜を育てに父や母がよく通ったものだ

私たち姉妹も野菜の育ちぶりをよく確かめに行った

 

水団(すいとん)というと今でも当時の食を偲びよく作られるが

そんな代物ではなかった

第一小麦粉がなかったから団子は作れなかった

お箸をかき回しても引っかかるのは芋くらいだった

そのうち芋も採れなくなると芋の葉と蔓だけになり

葉っぱと蔓だけの汁を掻き込んでは飢えを凌いだ

 

やがてそれも叶わぬ時が来た

その土地は国のものだと取り上げられ

庶民は命の綱の菜園を失った

 

それでも庶民の知恵は負けてはいなかった

菜園がなくとも狭い所で育てられる野菜を見つけた

それは南瓜だった

家の周りのどんなに狭い土地にでも

種さえ蒔けば 蔓を伸ばして 屋根に実を結ぶ

こうして南瓜はみんなの命綱となった

 

来る日も来る日も南瓜の水団(すいとん)

親や子 友や みんなの肌は南瓜色になっていった

南瓜は人を救ったが 人を黄色い色に染めていった

​                    by ドレミ・どれみ
                    (詩人会議10月号より)





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Last updated  2018.09.09 00:22:49
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