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カテゴリ:お気に入りコミックス・アニメ
放射能で汚れた土にヒマワリや菜の花を植えて土壌を改良しようという「実験」のことが、近頃よく報道されています。ヒマワリを育てる活動もいろいろ始まっているらしいのですが、そこでやっぱり思い出すのが「風の谷のナウシカ」ですよねえ。
ちょっと検索してみただけで、すでにたくさんの人が、ナウシカの世界を連想したというコメントを発しているのが分かります。私も、今回の事故による土壌汚染のニュースを見るたびに、島本須美のナウシカの声で 汚れているのは土なんです。なぜ、誰が世界をこんなふうにしてしまったのでしょう --宮崎駿「風の谷のナウシカ」劇場アニメ版 というセリフが聞こえてくる気がしています。 ちなみに、コミックス版(原作)では後半のセリフはありません(別のセリフになっています)。 米ソ冷戦のあの頃(ナウシカの映画当時)、SF界では“核戦争後の地球”が多く語られていました。ナウシカ世界の設定にある「火の七日間」という戦争もそんな感じです。しかし、冷戦構造が崩壊した今世紀となっても、フクシマの事故は“核の冬”の可能性が薄れたわけではないことを示しているようです。 そして、一度汚された自然が回復するのが、どんなに困難かということも。 ナウシカ世界では、「火の七日間」で「有害物質」が地上に蔓延したのち、腐海の菌類が汚染された土を「浄化」してくれるのですが、それだって百年、千年単位の時間がかかっています。 それでもナウシカの菌類は「有害物質」を無毒化しますが、現実のヒマワリや菜の花は放射性物質を吸収はするのかもしれませんが、なくしてくれるわけではないのですよね。育てたヒマワリがやがて枯れたら、その放射能を含んだヒマワリの残骸をどうするのでしょうか。その処理方法や保管方法は考えてあるのかしら。 などと、どこまでも不安はつきません。 ナウシカの原作では、結局のところ「火の七日間」で文明を破壊した「巨神兵」を創ったのは文明の主である人類だったし、土を浄化する菌類を創ったのも汚染した本人である人類だった、ということになっています。 当時はまた、バイオテクノロジーという言葉がはやって、遺伝子操作などにより人類があらたな生物を創り出すことをテーマにした作品が多く出た時代でもありました(以前コメントした『アド・バード』とか)。 個人的には、腐海の菌類が人工物だったという種明かしはあまり好きではないのですが、それより気になるのは、ナウシカが世に出てから30年たった今、放射能汚染土の浄化にヒマワリだの菜の花だのに頼らなければならない科学技術の貧弱さです。 破壊兵器や経済効果ばかり追求してきた結果、地震・津波という“自然”にやられた原発に水をかけて冷やし、汚れた土はけずりとるだのヒマワリ畑を作るだの、そんな原始的な対処法しかないなんて、科学の発展って何だったんでしょうかねえ。ナウシカ世界の人類の方がまだマシな気もします。 ナウシカ(原作)については、哲学的な読み方がいろいろでき、深みにはまるとキリがないようです。 今はただ、ナウシカ的すなおで直感的な心を回復したいものだと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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