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HANNAのファンタジー気分

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February 23, 2014
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 フランス語圏のコミックス“バンド・デシネ”『闇の国々1』、ついに(古本で)買ってしまいました。図書館で予約したのが去年夏でしたが、どうも本が行方不明になったらしく、年末になって隣市の図書館から回してもらい、ようやく読みました。先に読んだ『闇の国々2』と同様、隅々まで何度も見たくなる本なので、味わい尽くせぬまま返し、改めて予約しようとしたら、もう借りられませんでした。

 そんなこんなで、やっと入手した重厚な大冊。「狂騒のユルビカンド」「塔」「傾いた少女」の3話がメインです。

 「狂騒の・・・」は、2巻と似て、架空の大都市の物語。都市が舞台というより、都市そのものの話です。
 直線的道路や巨大建築による“再開発”が頓挫し分裂ぎみのユルビカンドに、増殖する謎の立方体が出現。人知を超えてどんどん育ち広がり、都市はジャングルジムに覆われたようになります。この天変地異に住民や都市計画家や権力者はどう反応したかという本筋もおもしろいですが、あとについている、後世の学者のいろいろな解釈(架空の)も楽しいです。この育つジャングルジムを「神」とみなす解釈があれば「悪魔」とみなすもの、果ては「電話網だ」というものまであって・・・。

 しかし、私ごのみなのは、「塔」です。2巻や「狂騒の・・・」にも世界を俯瞰したり仰ぎ見たりする場面がいくつか出てきますが、「塔」はまさに上下の階層移動の物語なのです。
 以前、エレベーターについて話題にしましたが、人間はふつう平面的な移動をするので、エレベーターのような鉛直方向への移動は階層をつきやぶり別世界へ到達するファンタジー的手段なのでした。エレベーターに限らず、たとえば井戸を落ちてゆくアリスとか、階段や急斜面をのぼって行く、翼や気球で舞い上がる、などなど。

 「塔」の主人公は頂上も基部も把握できないほど巨大な塔の、ある階層で、見回りと補修を仕事に何十年も孤独に暮らす男(モデルはなんとオーソン・ウェルズ!)。彼は下方からの連絡が途絶えているのにたえかね、ある日塔を下り始めます。途中でグライダーのようなものを自作し、一気に下りるかと思えば風にあおられて上昇したり。最後にロープで吊した箱に乗って下降するところは、まさにエレベーター。ついに出た!とうれしくなりました。
 塔の別の階層にたどり着くと、そこは見知らぬ社会が展開しています。どうも上下移動には、タイムマシン的な意味もあるようで、「塔」とは時代が地層のごとく積み重なってできているとも思えます。
 そしてまた、人々にとって違う階層(時代)のことを知る手段として「絵」が出てきますが、その一つを見ると、この「塔」は明らかに、ブリューゲルの描いたような「バベルの塔」です。
 主人公は最初さえないおじさんですが、冒険をして違う世界を見、出会った人々や書物などから見聞を広げ、塔の頂上や下層部をも見ることによって、次第に人間的にレベルアップしていくようです。最後に塔が崩れた世界において、大出世を遂げた彼の姿が掲げられているのも、うなずけます。世界をいろいろな視点から知ることこそ、大切だったのですね。

 やや長くなってきたので、続きは次回。





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Last updated  February 25, 2014 12:16:28 AM
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