韓国通、産経の黒田さんの韓国本は、
いつもいろんな文化論がちりばめられていて読んでいて楽しいのだが、
この『韓国は不思議な隣人』という本は
題名とうらはらに、総じて重苦しい、政治まみれの本である。
重苦しいと感じるのは、ぼくの単なる主観かもしれないけれど。
ソウルオリンピックの前、日本人にはこんな期待感があったと思う。
「韓国が先進国入りすれば、
日本側の韓国蔑視感情や韓国側の屈折・鬱屈も消えて、
韓国と日本はやっと普通の国どうしの関係になるだろう」
いまや韓国は立派に先進国入りした、と思うが、
そして「ヨン様ブーム」の日本からは韓国蔑視感情は消えたが、
けっきょく韓国側の屈折・鬱屈は変わらないまま、
というか
金大中(きん・だいちゅう)大統領の治世以来、
政府・与党が平壌(へいじょう)のコントロール下に入り、
いっそう おかしな国になってしまった。
期待感はみごとに裏切られた。
…… という言い方で書いておられるわけではないが、
黒田勝弘さんの重苦しい筆致の根底にはそんな思いがあるのではないか。
ぼく自身が歳をとったからかもしれないけれど、
20年前の韓国は「オジサマの国」というイメージだったのが、
(つまり日本より精神年齢が上に見えたのだが)
いまや精神年齢がすっかり逆転して、
韓国はすっかり軽々しくなってしまったように思える。
やはり、かの国のいまの政治指導者の精神年齢が極めて低いせいだろうか。