カテゴリ:ぼくの食堂
昭和30年代に出版された小学館の学習図鑑で「21世紀の生活のようす」といえば、3種の神器は「エアカー」「壁掛けテレビ」「電子レンジ」だった。
エアカーは、鉄腕アトムなどのアニメでもおなじみだったけど、 じっさいに空気で車体を浮かして走れば、街には砂塵がもうもうと舞い、激しい空気音は堪えがたい公害となったはず。 他の2つの夢に比べて明らかに現実性とぼしい神器であるが、ひとは当時なぜあれほどエアカーにこだわったのだろう。 壁掛けテレビは、ちょうど21世紀にはいって想定どおりのものが普及しはじめた。 電子レンジは、21世紀など待たずに昭和40年代には普及がはじまったが、昭和30年代の図鑑にはたしか 「ハンバーグもたった3秒で調理できます」 と書いてあった。 だから実際の電子レンジでは調理に1分も2分もかかるのでがっかりしたのだけど、これはまあ、出力さえ上げれば「ハンバーグが3秒で調理できる」機種も作れなくはない。 4月2日の『ニューヨーク・タイムズ』紙に Harold McGee 記者が電子レンジ使用の注意点について書いていた。 米国の、電圧 220ヴォルト、電気容量 1,100ワットの電子レンジとなると調理物の反応も激しい。 バターを長時間加熱すると、バターの水分が沈下してあつまり、それが一気に沸騰爆発してレンジのなかがバターまみれになります、とある。 水を長時間加熱すると、100度を超えても沸騰状態にならないことがあります。そういう超加熱状態の水をちょっと揺らすと、一気にはげしい沸騰が起こります。 古くなったパンやナッツを長時間加熱すると、外面には変化が見られないのに内部だけ真っ黒に炭化します。 これは、表面温度がさほど上がらないのに、内部の熱は発散せず炭化するほど高温になるからです。 ……出力が高いとこんなことも起こるのか。 ハンバーグが3秒でできる電子レンジだったら、こういう調理場の悲劇が日常茶飯事になっていたろうか。 0.01 秒単位で管理する電子レンジの温度制御技術も進んだはずだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Apr 10, 2008 06:59:08 PM
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