テーマ:政治について(20118)
カテゴリ:世界を見る切り口
エネルギー殖民地主義 energy colonialism という語が目をひいた。
『ウォールストリート・ジャーナル』紙5月3日号の Max Schulz 氏の評論。題して California's Energy Colonialism. (同氏は、シンクタンク Manhattan Institute のエネルギー政策・環境センター長。) 地球温暖化対策の優等生とされるカリフォルニアがまた、どうしたというのか。 シュワルツェネッガー Schwarzenegger 州知事は地球温暖化解決法 Global Warming Solutions Act という州法を施行。 それによれば温室効果ガス(二酸化炭素ガスやメタンガスなど)をまずは25%削減して平成2年(1990年)のレベルまで落とす。 2050年には温室効果ガス排出を基本的になくそうというすごい計画なのだ。3,800万人が暮らすカリフォルニアで。 ところがこれがじつは相当なきれいごとから成り立っているという批判がある。 州の電力需要の2割は、隣接するネヴァダ州、そしてユタ州、さらには遠くニューメキシコ州、コロラド州、モンタナ州の石炭焚火力発電所から調達している。 これは東京電力が福島県や新潟県にある原発に頼るイメージではなく、距離的には朝鮮半島やロシアの沿海州から電力を買っているようなものだ。 さらに、州の北にあるオレゴン州・ワシントン州の水力発電所からも相当の電力を調達している。 発電を州外に頼れるからできる贅沢な口上。 だから、ほんらい温室効果ガス削減に貢献する原子力発電所も新規建設を州法で禁止したままだ。 昭和50年に運転開始した 90万キロワットのランチョ・セコ Rancho Seco 原発も、反原発運動に媚びて運転開始からわずか14年で閉鎖させている。 跡地では太陽光発電をやっているが、出力わずか4千キロワットというのが泣ける。 かくして、カリフォルニア州の電力料金は他州の2倍である。 * * * ヨーロッパのドイツなどもそうなのだが、隣から電力を心置きなく買って来れるところは、きれいごとが言えるものだ。 日本だって、大陸と陸つづき、あるいは朝鮮半島との距離がもっと近ければ、国内ではきれいごとを言い、必要な電力はちゃっかり隣国から調達、なんてことをやったろうか。 幸か不幸か、近隣諸国が信頼のおけない国ばかりだから、カリフォルニア州のようなきれいごとを言えないのが日本という国である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 10, 2008 08:53:24 AM
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