テーマ:政治について(20211)
カテゴリ:世界を見る切り口
金沢の 『北國新聞』 はスジの通った論説が強みで、いわゆる「道州制」にも反対の立場。
わたしも道州制には反対だ。 都道府県の合併で高度な地方自治の受け皿を作るのが本筋だと思っている。 いまの 「道州制」 案では区割りが大きすぎて、中央政府の出先機関(たとえば 「九州経済産業局」 「九州厚生局」 「九州運輸局」 のような)が 「道州政府」 の母体となるだろう。 道州制の美名のもと、 「九州」 という単位で ひとかたまりになるなら、これまで福岡市で 「全国均一政治の実現」 を目指して九州全域への睨みをきかせてきた中央政府の出先機関が主人公となる。 「地方色ゆたかな自治」の母体であった県庁は廃止され、その職員たちは 「中央政府の出先機関」 のそのまた出先の職員になり下がる。 なんのことはない、道州制の正体は、中央政府の出先機関が「地方自治」なるものを行うという自己撞着に塗りつぶされた 「霞が関政治の全国津々浦々化」 である。 (そうならぬよう、わたしの案では九州は「福岡府」(山口県を併合)、「長崎県」(佐賀県を併合)、「熊本県」(大分県を併合)、「鹿児島県」(宮崎県を併合)、「沖縄府」の2府3県になる。 拙著 『日本の本領(そこぢから)』 に詳述してある。) さてさて、中央政府の出先機関の再編すなわち道州制実現である、というホンネが、だんだん表面化してきたらしい。 『北國新聞』が8月11日の社説でそういう考え違いを諫めている。 ≪ 国出先機関の見直し 道州制と絡めるのは論外 政府の地方分権改革推進委員会がまとめた国の出先機関見直しに関する中間報告を受け、福田康夫首相が 「分権改革は内閣の最重要課題」 と改造内閣でも重要な旗印に掲げたのは当然としても、気がかりなのは出先機関の見直し論議の具体化とともに道州制が分権先送りの理由に使われ始めたことだ。 分権推進委の丹羽宇一郎委員長が 「浮ついた道州制の議論に意味はない」 と苦言を呈したように、出先機関改革を道州制と絡めるのは論外である。 これまでの道州制論議は端的に言えば、府県合併と国の出先機関の統合を合わせた形で論じられる傾向があり、出先機関の統廃合は、その受け皿となる広域行政体としての道州制と結びつきやすい。 だが、国出先機関の見直し論議は現行の都道府県制度を前提に進められており、分権推進委が描く改革が実現すれば道州制はいらないことになる。 実際、今回の中間報告の中でも、都道府県を超えた広域的な行政需要については選択肢の一つとして 「広域連合」 などが明示され、道州制には触れられていない。 道州制ビジョン懇談会は 2018 年までの道州制実現を打ち出し、自民党の道州制推進本部も2015~2017年の移行を提唱した。 目標時期が明示されて分権反対派から出てきたのが 「道州制導入時に一気に分権を進めればいい」 との先送り論である。 国の出先機関は国家公務員33万人のうち21万人を抱え、地方整備局だけで年間8兆円の予算を執行している。 二重行政や予算の無駄遣い、官製談合などの問題が次々と明らかになり、統廃合を含めた出先機関の見直しは避けられないだろう。 それは国と地方の在り方を抜本的に変える大仕事となる。 第二期地方分権改革のまさに 「本丸」 ともいえる見直しがこれから本格化しようとする時に、現行制度の枠を超えた 「受け皿」 論が一人歩きすれば分権論議は混乱するだけである。 ましてや道州制の導入で地方分権を推し進めようなどとする考え方は本末転倒と言わざるを得ない。≫ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Aug 12, 2008 11:30:46 PM
コメント(0) | コメントを書く
[世界を見る切り口] カテゴリの最新記事
|
|