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高級葡萄といえば 「巨峰」 くらいしか知らなかったが、石川県で平成7年から実に11年かけて品種改良した 「ルビーロマン」 という品種があることを、『北國新聞』 の社説を読んで知った。
いったいどんな葡萄なのか。 「ルビーロマン倶楽部」 サイト で写真を見た。 大きさは、ほとんどスモモくらいある。 左から、ルビーロマン、巨峰、デラウェア。 葡萄は皮のところが旨いものだが、これだけデカいと、口にまるまる入らないから皮を剥くことになる。 で、すんなり剥けるのがルビーロマンの長所。 甘さが巨峰に勝り、酸っぱさは巨峰を大きく下回る、というグラフを見せられると、何としても味見をしたくなってしまう。 これほどみごとな品種が作れたのだから、開発チームもさぞやうれしかったろう。 青果農家に夢と希望を届けることができたのだから。 新しい品種に取り組むときの農家の思いを想像してみる。 新品種がブランドとなり、着実に産業として育ってゆくのを見るのは、開発チームの何よりの喜びに違いない。 『北國新聞』 は、ルビーロマンの規格外品を菓子などの原料にする動きを紹介し、その品質管理を徹底することをJAの努力に求める社説を書いている。 産業を育てる地道な取り組みに思いをはせた。 北國新聞 平成21年10月19日 社説 ≪ルビーロマン加工品 生産者の「安全網」になる 石川県産の高級ブドウ 「ルビーロマン」 の規格外品を使い、菓子などを試作する動きが見られるようになってきた。 農作物の出来は天候などに左右されやすく、どんなに栽培技術の向上に努めても、一定量の規格外品は出てしまう。 生食用として売れない規格外品を加工用に回し、収益につなげる道筋が確立されれば、生産者にとっては何よりのセーフティーネット (安全網) になろう。 さらに試行錯誤を重ね、多彩な加工品を商品化してほしい。 ルビーロマンの出荷は、JA全農いしかわが一手に引き受けており、糖度や粒の大きさ、房の形などが基準に満たないと評価されたものは市場に出回らない仕組みとなっている。 ブランド価値を守るために不可欠なこととはいえ、生産者は少なからぬ量の規格外品を涙をのんで自家処分している。 県などは、市場デビュー2年目となる今年の出荷目標を4千房と設定していたものの、実際は約 2,800房にとどまった。 栽培が容易ではないことを物語る数字である。 今後、県内だけでなく首都圏や関西圏などにも広く発信していくためには、出荷量をさらに増やさなければならないが、栽培の難しさが生産拡大の障壁になる可能性は十分にある。 「規格外品=利益ゼロ」 という状況を解消することによって生産者のリスクを多少なりとも軽減し、挑戦をためらっている農家の背中を押したい。 ブドウの加工品にはさまざまなものがあるが、ルビーロマンの場合、やはり 「本命」 は菓子だろう。 金沢には藩政期以来の和菓子作りの伝統が脈々と息づいており、最近は意欲的なパティシエによって魅力ある洋菓子も次々と開発されている。 新しい素材をうまく生かし、菓子業界の活性化にもつなげたい。 ただ、規格外品をむやみやたらと出回らせて、全体的な価格低下を招いては本末転倒だ。 「高貴な宝石」 というイメージとかけ離れた加工品が店頭に並ぶのも好ましくない。 こうした問題を起こさないためには、規格外品についてもJA全農いしかわが集荷し、責任を持って業者に供給する態勢を整える必要があろう。≫ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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