テーマ:本のある暮らし(3295)
カテゴリ:リーダーズ・ダイジェスト日本語版復刊を!
さわやかで地に足ついた語り口に引き込まれて、一気に読んでしまった。
著者の中嶌重富さんには かつて、月刊 『リーダーズ・ダイジェスト』 誌の復刊計画について相談しにうかがったことがあって、それが縁で本書も出版後すぐ送ってくださった。 翻訳会社アラヤ社を56歳のとき立ち上げて業界大手に育てた。 会社のサイトには日本のポップな文化を日本語と中国語で発信するページも設けてある。 英語版をはじめ各国語版を日本語に移し、さらには日本版オリジナルの記事を各国語版へ発信することをねらう 「リーダイ」 復刊のわが夢と、アラヤ社のフィールドは、相通じているように思えた。 アラヤ社のオフィスはこころよいアート空間。 お話を聞いてみると、アラヤ社の業務分野は技術翻訳だった。商品マニュアルや製品内蔵の表示文を20も30もの言語で用意せねばならぬ需要が輸出メーカーにはあって、そこにソリューションを提供するビジネスをくりひろげる。 「リーダイ」 とは分野が違いすぎた。 もちろん面会のアポをとりつけて出向いたのだけど、目途が立っているわけでもない 「リーダイ復刊」 を夢見る男など、ほとんど闖入(ちんにゅう)者のようなものである。 口下手のわたしの話に中嶌重富さんは懇切に耳を傾けてくれて、 「紙の雑誌として出すのはビジネスモデルとしては難しいのではないか。有料閲覧サイトで電子雑誌としてはじめてはどうか」 といったアドバイスをくださった。 中嶌重富さんのブログ: http://ameblo.jp/alaya2009/ * 中嶌重富さんのことを知ったきっかけは、渋谷だった。 Bunkamura ギャラリーの笹尾光彦個展 (毎年開催) の一角に、中嶌重富さんの前著 『56歳での起業。』 がそっと積まれてあったから。 笹尾さんはアラヤ社のアドバイザーでもある。 今回の 『起業適齢期』 は、平成16年のアラヤ社起業から現在にいたる経営の道のりを語りつつ、中嶌さん自身の生い立ちから三井銀行勤務時代のできごとなどを織り交ぜてある。 日経の文化面 「わたしの履歴書」 のような読み口だ。 納得のいく人生とは、過去が現在のためのふしぎな肥しとなり、思いがけない花をつけ、その種子が予想もしないところへ飛んでゆく、そういうものではないかと思うのだが、中嶌重富さんの本を読んでその思いを深くした。 昭和22年生まれだから62か63歳でいらっしゃるが、まるで40代のひとが書いたような溌溂とした活力を感じる。 企業を育てることで人を育てる。経営とは、人の生き方をよき方向へ向けることでもある。 経営の原点を思い返させてくれた。 (中嶌重富・著 『起業適齢期 ― 56歳だから実現できた 「ブランド」 』 ダイヤモンド社・刊、 1,500円 + 税。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Jan 30, 2010 11:09:44 PM
コメント(0) | コメントを書く
[リーダーズ・ダイジェスト日本語版復刊を!] カテゴリの最新記事
|
|