カテゴリ:読 書 録
「総合商社」 は日本だけにある企業形態だと、かねてより さんざん言われてきた。
この本を読んで、イギリスの大商社が貿易取引と投資を車の両輪として企業経営をすすめてきた姿を知り、「総合商社」 という業態がそれなりの普遍性をもっていることを実感した。 世界史や世界地理で読んだ東南アジアの「プランテーション」経営の主体もまた商社だったとは。 たしかにそういう業態の事業が、わが勤務先にもたんとある。 ぼくの勤務先も資源会社兼貿易会社になりつつあって、「○○商事」 というより 「○○リーソーシズ」 と改名したほうがいいかもしれない状況だが、そういう展開もべつに日本の総合商社の専売特許ではなく、すでにイギリスの商社が長らく歩んできた ひとつの道だった。 イギリスの商社も、本業から縁遠い製造業や、知見の薄い国での事業投資で失敗を重ねたらしい。身につまされる。 日本の総合商社と異なり、イギリス商社の大部分は事業売却で消滅してしまった。 明暗を分けたのは、日本とイギリスの製造業のちからの差と、政府による支援の差であった、と本書は書く。 う~ん、日本の 「政府による支援」 は、傍(はた)で想像するほどのものは存在しないと思いますが……。 * 平成12年の時点で、イギリスの多国籍商社と呼べるのは3社。 John Swire & Sons 社は従業員12万人、Jardine Matheson 社は従業員17万人というから、そのうち1社だけで日本の総合商社全部を合わせたような規模だ。 こりゃ、バケモノだァ! いったいどういう経営内容なのか、今度しらべてみたい。2社ともに同族所有の会社で、かつ香港に根を張っている。 のこり1社は Lonrho Africa 社。殖民地支配の残骸管理者みたいな名前だ。 平成10年に Lonrho Africa 社の従業員は2万5千人というから、これまたバケモノに近い。 商社に関わりのある人間にとっては、興味の幅を広げてくれる本だ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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