カテゴリ:映画・演劇(とりわけミュージカル)評
ぼくの応援している劇団 Theatre Moments が、パワーアップされた「幸福の王子」公演をやっています。初日を観てきました。
この劇団の特徴は 1. からだを張って動く。舞踏でも武闘でもなく。舞台美術そのものとしてのからだの動き。 2. 大道具を使わず、シンプルな小道具をさまざまな用途に使い込む。落語の扇子と手ぬぐいみたいに。 3. 出演者が役を次々に入れ替わる。そのプロセスの中で、観る者の想像力の翼を羽ばたかせる。 3. 笑いをとる脇スジと、しっとりと締める本スジのストーリーの絶妙のバランス。 今回は、調布市せんがわ劇場の企画制作だったので、舞台美術がいつもより華やいでいます。 有名な「幸福な王子」をこの劇団で観るのは3年半ぶり、2度目。 注目した新演出は、暗転の効果的な使い方。暗転といっても、幕や場の転換ではなく、台詞や効果音は続行します。 1度目の暗転は、王子の片目のサファイアをつばめが抜き取った瞬間。王子がひとつの目の光を失う瞬間を暗転によって観客も体験実感する。 2度目の暗転は、王子の鉛の心臓が割れるとき。荘厳な死を、闇のなかで実感します。 暗転って、こんな使い方もあるんだ! 「幸福な王子」は朗読しても30分ほどで終わってしまいますが、これを70分の演劇に仕立てたので、コミカルな脇スジ(「妖怪体操」まで出てきましたが…)もあれば、ひとつのシーンをふくらませて考えさせてくれる場面もありました。 舞台中央に2人の役者が背中合わせで立ち、こちらを向いた役者が 「わたしは北半球の先進国にいます。なにが困るって、食べ物がたくさんありすぎて、どれを食べたらいいかわからなくなること」 舞台奥を向いた役者が 「わたしは南半球にいます。なにが困るって、飢えと栄養失調でおなかがふくれてしまうことです」。 これだけ書くと、陳腐な社会派演出のように読めますが、このシーンに至るまでストーリーの階段を登ってきた観客には、じ~んとくることばなのです。 Theatre Momentsさん、いいお芝居をありがとう! 「幸福な王子」公演の詳細は、こちらのサイトをご覧ください。入場料は2,500円です(各種割引あり)。 http://www.moments.jp/playX05/ 12/19 14時、19時半 12/20 11時、15時 12/21 14時、17時 12/22 14時。 劇場は、京王線の仙川駅から歩いて5分。調布市といっても、新宿駅からすぐです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Dec 20, 2014 11:42:06 AM
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