テーマ:政治について(20224)
カテゴリ:世界を見る切り口
Saugato Datta 著 『英エコノミスト誌のいまどき経済学』 (日本経済新聞出版社、平成26年刊) を読んでいたら、若干古いデータに基づいているが、こんなくだりがあった。
誰でも簡単に指摘できそうなのに、じっさいに指摘されることはほとんどなく、それでいて実に建設的な視点だ。 ≪経済実績の唯一にして最良の尺度はGDPの成長率ではなく、1人あたりのGDPの成長率であり、これは平均的な生活水準のおおよその目安となる。≫ ≪GDP成長率はアメリカの相対的な実績を、実際よりもよく見せる。 アメリカの人口は移民と高い出生率のおかげで、年1%というはるかに速いペースで増えているからだ。 これに対して日本国民の数は、2005年から減り続けている。この点を考慮すると、日本の1人当たりのGDPは2003年から2007年にかけて、年率2.1%で増加していた。これはアメリカの1.9%よりわずかに大きく、ドイツの1.4%をはるかに上回る。 言い換えるなら、日本経済に関する一般的な悲観論とは裏腹に、日本は平均所得の伸び率が3つの経済大国のうちで最大だったのだ。しかもG7のなかでも、イギリスに次ぐ第2位である。≫ (20~21頁) ≪1人当たりGDPが人々の繁栄を測る優れた尺度であるとしたら、政府はなぜ四半期ごとにそうした数値を標準的なGDPの値とともに発表しないのか? たしかに、人口統計は概してGDPの値ほどには更新されず、通常、四半期ベースでは手に入らない。しかしそれは苦しい言い訳だ。人数を数えるほうが、多様な経済生産を評価するよりよほど簡単だろう。 平均的な生活水準が上がっているのか下がっているのかを知る権利が国民にあるというだけではない。そうした数値を発表することが利益につながる国もある。 当時は日本経済が「低迷している」という報道がいつ果てるともなく続いていたが、もしも日本政府がそれとは逆に、近年の1人当たり所得がむしろ成長していることに注意を促していたら、消費者は元気づけられて支出を増やしていたかもしれない ―― つまり、GDP成長率はさらに大きくなっていただろう。≫ (24頁) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Aug 23, 2015 07:31:20 PM
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