テーマ:読書(8594)
カテゴリ:科学技術に驚く
人工知能が2040年に中国でしでかす「あること」について本を書く準備をしています。(小説という形式になるでしょうね。)
「ハーバード・ビジネス・レビュー」誌の小論文を掲載した本書から若干抜き書きしておきます。 『人工知能 機械といかに向き合うか』(ダイヤモンド社、平成28年刊) ≪上級の辯護士は法律を熟知しているが、法律のあらゆる細かい点を探求する専門家であることは稀である。彼らは労力の大半を新規案件の獲得――昇進に直結する実績と見なされることが多い――に傾けており、クライアントの懸命な相談相手として振る舞う。もし機械が法律文書を読み取って行動や議論の方向性を示すことができれば、彼らがそれ以外の仕事に向けられる余力は増えるだろう。このことは、その他の専門職、たとえば上級の会計士、建築士、投資銀行家、コンサルタントにも当てはまる。≫ (23頁) なんとまぁ、パートナークラスの辯護士の目下の主業務は “営業活動” かよ、とまずビックリです。 ≪(ある財務アドバイザーの言) 台本を読むだけならばもちろんコンピューターにもできますが、クライアントを説得して投資額を増やしてもらうには、それ以上のスキルが必要です。現にわたしは株式仲買人というより精神科医のような役割を果たすこともしばしばあります。≫ (34頁) ≪人間は前例のない状況でも、普通には利かないアナロジーを利かせ、見立てていく。1回や2回の経験からも即座に気づき、学ぶ、これは生命にとってのある種のサバイバルスキルといえる。≫ (52頁) ≪AIは問いを投げかける力を持たない。人間の知性の源といえる「複数の視点から本質的なポイントを見つける」「コンテキストに合わせた現象の総合的な理解とその意味合い出し」というような広く深いパターン認識も期待するのは困難だ。」 (52~53頁) そうとも言えないんじゃないの? 人間だって、けっきょくは「あてずっぽ」「下手な鉄砲」の積み重ねでやってるだろう。 ≪これまでは人間の手で現実世界の森羅万象の中から変数を取り出し、それをコンピューターに与えていた。たとえば、ビールの売上と気温の関係を重回帰分析するとしよう。このときは気温が変数だが、気温ではなく湿度や曜日を変数に置くことも考えられ、何を変数に定めるかは個人の判断で変わる。人間の勘と経験に依存していたともいえる。 機械学習ではこうした変数を「特徴量」と呼ぶ。特徴量に何を選ぶかで予測、分類、回帰、分析の精度は大きく変化する。人間のばあい、同じ作業を何度も繰り返すなかで適切な特徴量を決めるコツをつかむ。同様の作業を視覚でもやっており、子供のころから目の前に何があるかを理解するためにさまざまな特徴量を無意識のうちに導き出している。 従来のコンピューターは、何が特徴量かを自発的に構成することができなかった。これが機械学習における最大の問題であったと言っても過言ではない。 そうしたなか、2012年にカナダのトロント大学が開発した Super Vision が大きな衝撃を与えた。データをもとにコンピューターがみずから特徴量を作り出す機械学習の方法であり「表現学習」の1つとされる「深層学習」(ディープラーニング)によって、驚異的な画像認識の精度を実現したのだ。 AI の研究が始まってから約50年刊、コンピューターが自動的に特徴量を探し出せることなど想像もされていなかった。それをディープラーニングが可能にしたことで、「人間の知性はコンピューターで再現できる」という当初の仮説の証明に向けて大きな前進を迎えた。≫ (108~109頁) コンピューターに、特徴量の候補をそれこそ“やみくもに”列挙させ、それぞれを試しに特徴量と置いて“下手な鉄砲”よろしく分析させ、その分析結果を比較させてはどうだろう。 そうすれば、実態にもっとも適合する結果を生む特徴量を選択させることができるのではないだろうか。 コンピューターに“決め打ち”を期待してはいけない。 ムダな作業を厭わないことがコンピューターの取柄なのだから、人間ならやらないようなムダをさんざん繰り返させればよい。 ≪デジタルの進歩の多くがGDPに勘定されない。たとえばウィキペディアは、昔ながらの『ブリタニカ百科事典』とは違って無料です。つまり、はるかに多くの人々に付加価値をもたらしても、GDPの数値には含まれない。≫ (206頁) であれば、Gross Domestic Product に替えて Gross Domestic Convenience のような概念を打ち出してはどうかな。 ≪初等・中等教育では、適切で有益なスキルを教えなければなりません。つまり、コンピューターが得意としないもの――創造性、対人スキル、問題解決などです。≫ (211頁) そう、けっきょく人間に残るのは「対人スキル」なのだと思う。 ぼくは、自分が対人スキルにおいて からきしダメなのか ほどほどなのか、じつはよくわからない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Nov 23, 2016 08:04:59 PM
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