カテゴリ:美術館・画廊メモ
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混色していないナマの絵具を支持体にぼってり厚く置き、支持体のうえで混色する――ただそれだけのことなら、白髪一雄が大昔に極めてしまった。 星山耕太郎さんの強みは、白髪一雄的世界の対極にある人物「写実」を徹底的に修業した上で、ぼってりナマ絵具で人物を描くという荒業(あらわざ)に挑んだところ。世界で星山耕太郎だけ、だ。 The Artcomplex Center of Tokyo(最寄駅: 信濃町、四谷三丁目) で8月22日(火)~9月3日(日)の開催です(8月28日は休み)。 ちなみに8月22日から27日までは同じ会場の別室で「第26回美樂舎マイ・コレクション展」もやっていますよ。 星山流の人物画の窯変ぶりをご覧ください。 星山耕太郎 「自画像」 Self-Portrait (墨、アクリル、和紙) 窯変の初期段階、わかりやすい作品。ただ、縞のシャツの左側が、やや単調になっちゃったかな。メリハリをつけるのって、むずかしい。 変容する顔面に、両の眼だけが写実世界を残していて、まるで此岸(しがん)から彼岸(ひがん)を覗き見しているかのよう。 星山耕太郎 <左>「楷・行・草」 Formal, Informal, Rough; <右> 「自画像の前の自画像」 Self-Portrait in Front of Self-Portrait (墨、アクリル、和紙) 左側の「楷・行・草」には、やられた。星山ワールドの窯変は、書の世界の「楷書」「行書」「草書」と同じだよと。 そして右側「自画像の前の自画像」に、ぼくはシュワッチというウルトラの声を聞くのであります。 星山耕太郎 「カーテンコール」 Curtain Call Revenge of 47 Ako Samurais in 1703 (墨、アクリル、和紙) 窯変して生まれたフィギュアは増殖し、勝手に主人公ヅラして出没し、はてはカーテンコールまで要求する始末だ!? 眺めているとアニメーションのようにも見えてくるからおもしろい。 星山耕太郎 「俺は黙ったままじっと観ていた」 I Was Staring Without a Word (墨、アクリル、和紙) いたずらっぽいキャラ。銀色と黒の混色がいい味を出している。口もともニヒルに仕上がりました。 星山耕太郎 「水色の裸婦」 Nude in Light Blue (墨、アクリル、和紙) 右下に乳房が見えるからヌードには ちがいない。なんとも異形(いぎょう)だけれども、星山ワールドにひたるとこれが可憐に見えてくる。黒から空色へとうつる背景もうつくしい仕上がり。 星山耕太郎 「生む女」 Woman Giving Birth (墨、アクリル、和紙) これもお茶目だ。産婦人科の待合室の壁にかけたらブラックすぎるかな。 星山耕太郎 「私は絵画になりたい」 I Want to be a Painting (墨、アクリル、和紙) 題名は「私は貝になりたい」の もじり。 ロスコ流の正方形の絵は、美術館の壁にあるようです。下のほうに柵が見えますからね。見入る鑑賞者はカメレオンのように絵と一体になり溶解していく。窮極の絵画鑑賞と申せましょう。美術館の壁面部分は銀箔を薬品で焼いて仕上げてあり、味があります。 星山耕太郎 「アトリエにて」 In My Studio (墨、アクリル、和紙) 画中画に囲まれた芸術家の自画像。ついに、来るところに来ちゃってます。 * * * 今回のACTでの星山耕太郎展は、昨年6月の ACT ART COM 2016(ACT アート&デザインフェアー2016) への出展がキッカケとなりました。 いい形で次につながったことが、とてもうれしいです。 昨年のアートフェア出展のようすは、こちらでご覧になれます: 【作品紹介1】 日本画家・星山耕太郎 「水墨+アクリル」 の一気呵成が生む動幻画(6/16~19) @ ACT アート&デザインフェアー2016 【作品紹介2】 星山耕太郎さん「水墨+アクリル」一発ワザが生む動幻画(6/16~19) @ ACT アート&デザインフェアー2016 このブログの前篇【作品紹介1】は こちら お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Aug 25, 2017 11:27:59 AM
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