ヒップフラスコ
灰色の雲が重くのしかかるように広がり、冷たい空気が露出した肌にかみついていてくる。 ぼくはネックウォーマーのすき間から忍び込んでくる冷気を、払いのけるように軽く素振りをしてから今日何度目かのティーショットを打った。 平らなフェアウェイの先には、ゆるやかにはためくピンフラッグ。 ニットの手袋を右手にはめて歩きだす。 かじかんだら、いいショットは打てない。 冬のゴルフは防寒対策が重要だ。 上から頭。 頭は熱の発散が多いので、ニットの帽子はかかせない。 ただ気をつけなければいけないのが、帽子のつばは重要だということだ。 つばのない帽子でプレーするとわかるのだが、太陽がまぶしくてプレーに影響がでる。 特に冬の太陽は低いので、目に入りやすいからだ。 サンバイザーにニット帽がおすすめである。次に首。 これは絶対外せないという冬の定番、ネックウォーマー。 体感的にネックウォーマー1枚がセーター1枚に匹敵するそうだ。 暑くなればすぐにはずせるのもいいところ。 上半身下半身ともに冬のアンダーウェアと言えば、ヒートテックを代表とする機能性下着だろう。 身体から発生した水分で熱を発するすぐれもの。 女子高生はこれをサイズ違いの2枚重ねとかするらしい。 これはかなり効果的だとテレビが言っていた。 機能性下着の利点はその効果にくわえて、そのものの薄さにもある。 温かいのに薄くて軽いのは非常にありがたいことだ。気温が低いとボールは飛ばない。 びっくりするぐらい飛ばない。 このことを理解しておかないと、「飛ばないからおかしい・・・」と、無駄に力をいれてしまうことになってしまう。 気温が一桁なら、寒くて動かない身体とあいまって、2つは番手をあげることになるだろう。ああ寒い。ポケットからヒップフラスコを出してウィスキーをちびり。 ああ熱い。流れ込んだウィスキーがその通り道全てを焦がしながら通り過ぎていく。 このヒップフラスコはキャップと本体がヒンジでつながっているので、キャップをなくす心配がないものだ。 ローレット加工がほどこされたキャップに造りの粗さはまったく感じられず、磨きあげられたステンレスのボディはすべてのものを映し出す。男はこういうモノに弱い。 家に居ても意味なく出してきてニヤニヤしたりする。 それを外に持ち出して使っているときはまさに至福の一時。 欲しくて何度も何度も店に行き眺めていたフォールディングナイフを、ようやく手に入れ近くの山で木の槍をつくって遊んだ少年のころの気持ちとよく似ている。 昔、ゴルフは18ホールと決まっていなかったそうだ。 ティーグランドに上がるたびに、飲んでいたウィスキーが18番ホールで無くなったから。 というのが18ホールに決まった理由。 はるか昔の酒好きのゴルフばかを思いながらもうひとくち、ちびり。もう少し多めにウィスキーを持っていてくれたら、もう少し楽しめたのに・・・ 190ヤード先にある18番ホールのグリーンに向かって打つために、キャディーバッグから3番アイアンを取り出した。ベンシャーマン Ben Sherman スキットルベンシャーマン Ben Sherman 【送料無料】 モッズ ファ...価格:4,980円(税込、送料込)