注文の多い混浴温泉フリードリッヒ
更衣室で服を脱ぎ温泉に向かう。入口付近で係の方に説明を受ける。係の方は男女合わせて5、6名。看護師さんのような白装束姿。こちらは全裸で一人。英語で、初めてですか、と聞かれる。はい、初めてです、と日本語で答えた私。英語で説明を聞く。「17種類の温泉を順番に進むように」というような内容であった。まずは、1番。WC、便所である。まずはここで出せるものは出す。ということらしい。次、2番。シャワーである。温泉に入る前にこれは当然。私はいつもの通り入念に体を洗った。3番の部屋に入る。低温サウナ室である。室温55℃だが入った瞬間寒かった。ここで15分、と掲示板にあった。私は注文通り15分横になる。周りには先客の男性2人。10分をすぎると汗が出る。体がゆっくり温まっていくのを実感する。なるほどこれが毒出し。デトックスというのですか。15分後には全身じわりと汗に包まれていた。そして4番は少し高めの低温サウナ。5番はスチームサウナ。当初17種類の温泉と思っていたが17種類の間(ま)であった。しっかり毒出しできて、いよいよ温泉の間。ぬるめの温泉が3つつづく。ここにきてようやくドイツ温泉を堪能。宮殿の中で贅沢な入浴をする王様気分を味わう。プールに広い11番では泳いだり浮いたり潜ったり。温泉の味はやはり塩味であった。12番はなにもなし。ここで3分休憩ということらしい。じっとしていると寒いので私は我流酔拳。周りに誰もいないので心置きなく修行ができた。そして極めつけの13番は1分30秒の冷水。これまで注文通りの時間を守ってきた私。しかしここでは1分弱が限界であった。めちゃくちゃ冷たいのです。体が焼けるよに冷たくなる。焼き氷、そんな表現がぴったり。かき氷、じゃなく、焼き氷ね。そんなのないけど。ぶるぶる震え14番。ここで係の女性が大きな白いシーツを広げ待っていた。私がいくと後ろからシーツをかけてくれる。ありがたい。寒いから全身をこれで包み込んだ。何だか生春巻きになった気分。ここでは4分、椅子に腰掛けじっとする。じっとしてても仕方がないので名文暗唱。平家物語、論語、春夜桃李園宴序…。そして15番。ここでは何とクリームをぬってくださいとの注文。これはまさしく『注文の多い料理店』!そういえば、体をきれいに洗ったし毒だしもした。スチームで蒸され、塩水にも浸かった。冷水で絞められ、シーツで春巻き。そしてここではクリーム。「クリームをよく塗りましたか、耳にもよく塗りましたか、」ドイツ語でそんなことも書いてあるのかもしれない。次は香水(酢)をぬってください。さあさあおなかにおはいりください。そうなったらどうしよう。二人の若い紳士の気持ちがよくわかる。16番でれいの大きな白いシーツが手渡された。「うわあ。」がたがたがたがた。そして最後の17番。「お茶はいかがですか」係の女性が英語でそんなことを言って来た。ここで30分間お茶を飲み休憩してくださいとの注文。私は早めにお茶をすすり5分ほどで更衣室へと向かった。HPには山猫ならぬ獅子の顔。おなかに入らずすんだのだ。注文の多い混浴温泉フリードリッヒ。あなたにもぜひ体験していただきたい。追記混浴温泉ではあったが中は空いててガラガラ状態。隣りのカラカラ温泉はカラカラなのに混んでいた。?