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関本洋司

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2004年11月16日
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カテゴリ:コラム
 プルードンは、『連合の原理』(1863)において当時のアメリカに関して以下のように書いている(三一書房p403)。

 「同じ精神(引用者注:<連合の原理>のこと)がアメリカの憲法をも支配している。しかしながら連邦の権力の権限を過大に増大させたとそれを避難しうる。アメリカ大統領に付与された諸権力は、ほとんど一八四八年の憲法によって、ルイ・ナポレオンに与えられた権力同様に大きい。この権限の過剰は、中央集権的な併合の精神と無縁ではない。それはまず、南部諸州で表明され、今日では北部諸州をもとらえている。」

 注記しておきたいは、当時のナポレオン三世の世界諸国への関与を考えると、アメリカの問題も単なるアナロジーではありえなかったということである。また、プルードンは同書の他の部分ではスイスとの比較において連合に関して考察している。数々の問題点があるとはいえ、スイスにおける現在の中小企業の健闘はそうした連合の原理と無縁ではないだろう。
 ただ、ここで強調しておきたいのはプルードンがかなり早い時期にアメリカの民主主義の問題点を的確に指摘しているということだ。
 百年近く後、数学者ゲーデルが米国の市民権を得ようとする際、同じような問題を指摘している。

 「1948年、アメリカに来てから8年目で市民権を獲得した。このためにはアメリカ憲法の試験を受けなければならなかったが、ゲーデルはこのときアインシュタインに『アメリカ憲法は無矛盾でないから困る』と語ったという」(廣瀬健『ゲーデルの世界』p18)。

 伝聞を元にした他の文献などでは、審査に際してゲーデルを審査する審査官の「アメリカは民主的だ」という発言に対して、ゲーデルが「アメリカは独裁国家になりうるし、それを証明できる」と反論しようとしたゲーデルの姿が描かれている。アインシュタインはそれを静止しようとして苦労したという。笑い話として伝えられるそれらの逸話は、21世紀初頭の現在、笑い話では済まされないということは確かだ。

追記:
 民主主義及び独裁の問題に関しては、最近ではジョージ・ルーカス『スターウォーズ エピソード1・2』が扱って秀逸である。





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最終更新日  2004年11月16日 20時13分04秒
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