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テーマ:相撲(1784)
カテゴリ:スポーツ
春場所千秋楽の朝青龍―白鵬戦は右からの小手投げで朝青龍が勝ち、22回目の優勝を果たしました。
立ち合いは白鵬有利かと思われましたが、その後の朝青龍のとっさの身のこなしは見事でした。スピードでは朝青龍が一番ということになるでしょう。 白鵬はちょっと若さが出てしまったかなと思います。横綱ならあの程度の小手投げは食ってほしくなかったです。もう少し左を深く差すか、あるいは右で上手を引くか朝青龍の左腕をしっかり抱え込んでいれば、また少し違った展開になったのではという気がします。十分な体勢になる前に出ていって、その勢いを利用されて投げられてしまったという感じです。 白鵬はどうも土俵際の捨て身の技を食いやすい感じがします。以前も稀勢の里に逆転の突き落としで敗れたりもしていました。 さて、問題は勝負の決まった後と土俵を下りた後です。朝青龍は横綱になってもう5年にもなるのに、本来横綱がどうあるべきかということについて、いまだに全くわかっていないということを露呈したシーンが続出しました。 横綱としての品格を考えざるを得なかった場面として、大きく次の3つが挙げられます。 1. 勝った後のガッツポーズは大相撲ではご法度 →思わず出てしまったということならまだ弁解の余地はあるかも知れませんが、もし意図的にやっているのであれば全くお話になりません。 なお、興味深いことに、野球の米大リーグでは、ホームランなどを打った後の打者の派手なパフォーマンスは、投手を侮辱するものと考えられ、打者はホームインするまでベース上を淡々と回っています。力士が本来持つべき心に通じるのではないかと思います。 2.花道は静かに去ればよい →朝青龍は両手を大きく広げてファンの声援に応えていたつもりなのでしょうが、大相撲は他のスポーツとは違います。中日新聞などはその写真を紙面に掲載していましたが、取材する側も土俵の美をわかっていないような気がします。 3.横綱にマイクパフォーマンスは不要 →にわか相撲ファンは喜ぶかも知れませんが、横綱の重みというものが何も感じられない場面でした。子供の相撲ファンには、あれが当たり前だとは思ってほしくありません。質問に対して謙虚に答える姿勢があれば十分だと思います。 横綱に本来求められる姿勢は何か?「泰然自若」この一語に尽きると私は思っています。朝青龍は謹慎明けの巡業で、土俵上から身振り手振りで観客に拍手や歓声を求めたことがありましたが、これについては、元NHKアナの杉山邦博氏も以前テレビ朝日の日曜昼の番組で「あれは横綱は絶対にやってはいけない。横綱は貫禄を見せなければいけない。」と語っていました。 私が思うに、相撲協会というのは江戸時代の幕藩体制に似ているような気がします。理事長に強大な影響力がある一方で、各部屋にもかなりの裁量、自治権が認められています。将軍と藩の関係に似ているように思います。弟子の指導方法には各部屋でかなり個性があり、弟子の指導の細部までは協会はあまり口出しはしない、ということで今までやってきたかと思います。 朝青龍問題に関しては、本来ならば、師匠の高砂親方がきちんと指導すべきなのでしょうが、それが機能しないのであれば、協会の理事長なり幹部なりが直接出ていって指導するしかないと思います。土俵の美や伝統というものを保つためには、こういう場合は躊躇なく協会が介入すべきと思います。北の湖理事長も土俵の充実ということを前面に掲げるのであれば、もっと手を打つべきです。 これは時津風問題に関しても同じ構図だと思います。北の湖理事長は、これは時津風部屋の問題であり時津風部屋が解決すべきこと、という態度を当初とり続け、事の重大性に対する認識が甘かったがために、対応が後手後手に回ったような気がします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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