「ねぇ、ちょっと聞いて欲しいんだけど･･･」


某日の朝、汗をダ～ラダラ流しながら
ベランダで洗濯物を干していると
隣の奥さんの不景気な声が壁の隙間から聞こえてきた。



奥さんが言うには
朝６時半にピンポンがなったそうな。
朝６時半でっせ？
いくら子供をラジオ体操に送り出したあととはいえ
まだパジャマだし、あわよくば二度寝しようと
試みる時間帯。（私だけか？）
来訪者は同じマンションに住むＴさん。
ウチの娘や隣の奥さんとこの次男くんと同級生の
娘がいるヒトなんだけど


奇襲の理由は･･･



何年か前に隣の奥さんとこの娘ちゃんに、って
自分の娘の洋服数点をあげたＴさん。
で
ソレをいとこに赤ちゃんが生まれたので




返して欲しいそうな。





･･･返せ？
奥さんは思った。

ソレが
朝６時半にやってきた理由かい？



それに返せって言われても
ムリな話だ。
だってアレは

もうとっくの昔に成仏させちゃってるし。





この件については実は私も絡んでいた。
あの時も隣の奥さんが不景気な声で

「･･･ねぇどう思う？」

って私に相談してきたのだ。
わりと有無を言わさずに「着て下さいね♪」って
持ってこられた結構な量の古着たち。
私も現物たちを見せてもらったケド
かな～～～りっいろいろなところを旅してきた風貌で
いくらバブバブ期はすぐ汚すから服は何着あってもＯＫとはいえ
４人目にして待望の女児を生んだ母の心中は･･･。
しかもメルヘン好き（どんなんや）な母の趣向とは
似ても似つかない原色系のオンパレード。

要はもらったものの処遇に困っているらしい。


「どう思う？」って私に聞いてきたのは
きっとこの私に"一押し"してもらいたいのだと
勝手に解釈した私は


「いいんじゃない？もらったものはもう自分のモノなんだし
着ないと思うんだったらヒトにあげるなり、成仏させちゃったら？」


とあっさり一押しどころか
二押し三押ししたのだった。

ソレに勇気付けられた（？）奥さんは
さすがにソレを他のヒトにあげる勇気はなかったらしく
そのアトひっそりと成仏させちゃったらしいんだけど･･･




そうか、返せときたか。ワハハ。
（↑所詮はヒトゴトか？）



結局かろうじて残っていた
水着だけを"返した"らしんだけど
"返す"ねぇ･･･
貸与制だったんかい？何年単位じゃい？
朝っぱらからこんな理由でウチに来られたりしたら

私はきっと

ハァ？

と聞き返したと思う。

何度も。