メルセデス・ベンツの新型「Sクラス」が日本に(記事)
独MERCEDESの「S」クラスといえば、最高級セダン車です。まあ、これも目の保養・・・ この記事はイズム・コンシェルジュからです。 メルセデス・ベンツは8月23日、新型「Sクラス」の国内導入を発表した。価格は¥10,900,000から¥23,400,000。10月1日より予約受注がスタートする。Sクラスの全面改良はおよそ8年ぶり。新型Sクラスは、運転支援システムの大幅な機能アップデートや高効率新世代ハイブリッドシステムの導入、前方路面の凹凸認識能力を備えた世界初のアクティブサスペンションシステム「マジックボディコントロール」の設定など、安全性・快適性・効率性の追求に向け最先端技術が惜しみなくされた1台だ。 また歴代Sクラスで初めて、ロングボディを主体とした開発が行なわれるなど、従来のSクラス路線を受け継ぐだけでなく、あらためて全方位で「最前か無か」を再定義することから誕生した新世代の最高級セダンである。 ラインナップ構成は、エントリーグレードにハイブリッドモデル「S400 HYBRID」(¥10,300,000)、S400 HYBRIDにラグジュアリー装備を充実させた「S400 HYBRID Exclusive」(¥12,700,000)、4.7リッターV8ツインターボユニットを搭載する上位グレード「S550 long」(¥15,450,000)。 さらにハイパフォーマンスラインのAMGモデルとして「S63 AMG long」(¥23,400,000)、「S63 AMG 4MATIC long」(同じく¥23,400,000)の2機種が用意される。これに加え、新型Sクラス発表記念モデルとしてS550 longをベースにリアセーフティパッケージやショーファーパッケージ、AMGスポーツパッケージなどを特別装備したS550 long Edition 1」(¥17,500,000)が280台限定で販売される。 まず「変わった!」と思わせてくれるのがそのスタイリングだ。新型Sクラスのスタイリングは、最新のメルセデス・デザインをベースとしながら、ラジエターグリルを先代モデルに対しより大型化するなど伝統あるエルセデスのハイエンドモデルであることをひと目で感じさせる重厚かつ流麗な装いとなった。 機能的にもより洗練されており、燃費に大きな影響をもたらす空気抵抗係数(Cd値)は先代モデルを0.2ほど凌ぐCd値0.24を実現。エアロダイナミクス性能はラグジュアリークラスで世界最高レベルとなった。 新型Sクラスのボディは、アルミニウムがふんだんに取り入れられた第三世代の軽量高剛性ハイブリッドボディが投入されており、重量増加を抑えながら従来モデルを大きく凌ぐ高剛性化を達成している。 また新型Sクラスは、歴代Sクラスでは初めてロングホイールベースモデルを主体とした開発が行なわれていることも大きな特徴だ。ロングモデルのボディサイズは全長5246mm×全幅1899mm×全高1483mmで、ホイールベースが3165mm(ショートモデルは全長5116mm、ホイールベース3035mm)となる。これにあわせ、主にリアシートを中心に快適性・安全性に関連する数多くの新装備を導入。居住性が大幅に高められている。 続いてパワートレインだ。 「S400 HYBRID」および「S400 HYBRID Exclusive」に搭載されるのは、メルセデスでは第二世代型となる新型ハイブリッドパワートレインだ。エンジンスペックは最高出力306ps・最大トルク370Nmで。これにモーター(27ps・250Nm)がサポートを加える。 排気量3.5リッターのV型6気筒直噴エンジンにリチウムイオンバッテリーとモーターの組み合わせという点では従来システムと同様だが、新たに時速35km/hまでの範囲において電気モーターのみで走行できる機能や、高速走行時におけるエンジン負荷の低減をサポートするセーリング機能(惰性巡航機能)が加えられている。燃料消費状態のカットなど、効率化が一段と追求されているのだ。これらにより約2割の燃費性能向上を実現。欧州燃費試験モードでは6.3L/100km(約15.9km/L)である。 また今後2~3年内には、ディーゼルハイブリッドモデル(すでに欧州で販売中)や、プラグインハイブリッドモデル(近くメルセデスが販売を開始する予定。33km/Lの燃費性能を誇る)も国内に導入される見込みだ。 上位グレードの「S550 long」は、最新世代4.7リッターV型8気筒直噴ツインターボエンジンを搭載。最高出力455psと、従来型に対し20psもパワフルとなっているが、一方で燃費性能については8%改善。欧州燃費試験モードでは8.6L/100km(約11.6km/L)となった。S400 HYBRIDと同様、国内ではエコカー減税対象モデルとなる予定だ。 近距離から長距離のセンサリングを担当する多数のレーダーセンサーに加え、最大で前方500mまで範囲を検知しさらに前方距離約50mまでの範囲で路面を立体把握可能なステレオマルチパーパスカメラを新たに搭載。「インテリジェントドライブ」は、これらから得られるデータをもとにより高い安全性、そして快適性をももたらすデバイスへと進化を果たしている。 例えばブレーキアシストシステムの「BASプラス」は、従来の進行方向検知に加え交差点を横切る車両や歩行者を認識しブレーキサポートを発動する機能を初搭載。これは新型カメラとレーダーにより、システムの空間認識機能が大幅に高められたことで実現したもの。 またカメラのスキャンデータをもとに、路面変化に対しサスペンションをアクティブにコントロールする「マジックボディコントロール」の実装も実現。これは、走行中における前方路面の凹凸をカメラが認識し、そのデータにあわせあらかじめダンパーの減衰レートや車高の制御が行なわれるというもの。「視覚を備えた」と表現されているこのサスペンションシステムにより、常にフラットで快適な乗り心地が得られるというものだ。もちろん世界初採用となる装備である。マジックボディコントロールは、「S63 AMG long」に標準装備となるほか、「S550 long」にオプション設定される。 同様にステレオカメラとレーダーセンサーによるスキャンデーターを用いることで、先行車両追従機能付きのクルーズコントロールシステムの「ディストロニック・プラス」も、自動ステアリングアシスト機能を備えた高度なデバイスへと進化を果たしている。 こうした高度な運転支援システムの幅広い活用が示すのは、安全性や快適性のさらなる向上であり、同時に紛れもなく自動運転へのアプローチでもある。 自動車そのものが外界環境とのコンタクトをはかるあらゆるセンサーが取り入れられて久しいが、メルセデス・ベンツは自動車の自動運転実現に向けたさまざまな開発実験を継続的に行なっている。そうした未来へのステップとして、量産市販車として新しいステージに踏み込んだのが新型Sクラスと言える。市販車での公道走行データが蓄積され、現実世界のあらゆる交通環境がさらに詳細にアルゴリズム化されてゆくことで、自動運転の実現へと大きく近づくことになるはずだ。