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第1章 『宴』 その1


第1章 『宴』 その2


第1章 『宴』 その3


第2章 『北へ』 その1


本の感想


『かもめの叫びは聞こえない』アン・スミス


『迷路』 キャサリン・コールター


『マーダー・プラン』 J・ケラーマン


『レッド・ライト』 T・J・パーカー


T・ジェファーソン・パーカー 一挙読み


『殺意』 リンダ・フェアスタイン


『ロマンスのR』 スー・グラフトン


『チーム・バチスタの栄光』 海堂尊  


『黄昏の百合の骨』 恩田陸


『家族狩り・5部作』 天童荒太


『麦の海に沈む果実』他 恩田陸


『天使の遊戯』 アンドリュー・テイラー


『天使の背徳』 アンドリュー・テイラー


『天使の鬱屈』 アンドリュー・テイラー


『蛇行する川のほとり』 恩田陸


『GOTH』 乙一


『ハリー・ポッターと謎のプリンス』 


『最後の旋律』 エド・マクベイン


『ZOO』 『失われる物語』 乙一


『追憶のスモールタウン』 R・ワトソン


『エミリーの不在』 ピーター・ロビンソン


『ウィンディ・ストリート』 パレッキー


『夜のピクニック』 恩田陸


『白狐魔記・戦国の雲』 斉藤洋


『No.6 ♯5』 あさのあつこ


『緋色の迷宮』 トーマス・H・クック


『天使と悪魔』 ダン・ブラウン


『ある秘密』 フィリップ・グランベール


『真夜中の青い彼方』 ジョナサン・キング


『ダーティ・サリー』 マイケル・サイモン


『渇いた季節』 ピーター・ロビンソン


『サメのこどもたち』 入り江わに


『よるくま』 酒井駒子


『手紙』 東野圭吾


『姑獲鳥の夏』 京極夏彦


『閉じた本』 ギルバート・アデア


『蒼い闇に抱かれて』 イローナ・ハウス


『邪魅の雫』 京極夏彦


『わたしのなかのあなた』ジョディ・ピコー


『容疑者Xの献身』 東野圭吾


『悪霊だってヘイキ!』 小野不由美


『悪夢の棲む家』 小野不由美


銃とチョコレート 乙一著


『あなたに不利な証拠として』ドラモンド著


『埋葬』 リンダ・フェアスタイン著


『オフィサー・ダウン』 シュヴィーゲル著


『煉獄の丘』ウィリアム・K・クルーガー著


『ぼくと1ルピーの神様』 スワラップ著


『青の炎』 貴志祐介著


天使が震える夜明け P・J・トレイシー著


2010年05月12日
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カテゴリ:小説・海外
GWに読んだ『悪意の森』の感想です。

あらすじはamazonからのコピペ。

うだるような夏のある日。
ダブリン郊外の森の中で、少年と少女が忽然と姿を消した。
あの日から20年。
同じ森の近くの遺跡発掘現場で少女の他殺体が発見される。
捜査にあたった刑事のロブとキャシーは、少女の家族が隠し事をしていると感じる。
一方、発掘隊の中にも疑わしい言動を取る者がいた。
やがて少女の姉がロブに接近し、虐待を匂わす証言をするのだが…。
数々の賞に輝く傑作登場。

森の中の少女他殺死体発見事件と、過去の少年少女失踪事件との関連を調べる刑事のロブとキャシー。
しかしそれは、ロブが自ら封印していた記憶の扉をこじ開ける作業でもあった。
次第に追い詰められていくロブの状態に、被害者の姉の言動が拍車をかける。
壊れていくロブとキャシーの鉄壁のチームプレイ。
そして事態は取り返しのつかない方向へと進むのだった…。
英米話題ミステリー、驚愕の結末。



タイトルですが、原題は『IN THE WOOD』。
邦題の『悪意の森』では、事件の部分だけで、主人公が物語全体を通して語る森の全てを表現してない気がする。


ダブリンの郊外の開発が始まったばかりの新興住宅地に仲の良い三人組がいた。
主人公のアダム・ロバート・ライアン、そしてピーターとジェイミー。
ある日、森の中に遊びに行った3人は夜になっても帰って来なかった。
捜索隊が見つけたのはアダムだけ、怯え、他人の血をあび、そして記憶をなくしていた。

それから二十年。
“アダム”の名を捨て、“ロブ”として生きる主人公はダブリンの刑事。
両親のおかげで、“アダム”のその後は人々にはさぐれない状態になっていた。

そして同じ地の遺跡発掘現場で少女・ケイティの死体が見つかる。
ロブは自分が“アダム”であることを隠して、相棒のキャシーとともに事件に当る。

発掘チームのメンバー、虐待を思わせる被害者の両親、などなど疑わしい人たち。
そしてケイティーの事件が、かつての2人の少年・少女の失踪に関係がありそうな証拠が見つかり・・・。


主人公・ロブの“ぼく”の一人称で、過去を振り返って語られますが、ケイティーの事件への現在の心情は少ないので、ほぼ現在進行形のように読めます。

ロブは事件に係わる内に次第に記憶が蘇ってくる。
それにより不安定な精神状態になる。
ケイティーの姉のロザリンドの相談に乗ってる内に、相棒・ケイティーとの仲もおかしくなっていく。

少年時代のアダムと、ピーター、ジェイミーの描写が良いです。
彼らが過ごす森の中の描写も良い。

そして現在のロブとキャシー、そして同じく刑事のサムの3人で過ごす時間が、かつての少年・少女達とリンクしているようです。
それ故、ロブとキャシーの2人の結末には納得が行く。
子供時代と言うのはいつかは終わるものだから。

ロブは“アダム”と言う名を捨てて、それでも友達2人を失った事件から解き放たれることがなかった。
記憶を失ってしまったのが、返ってその機会を逸していたのかも知れない。

徐々に記憶を取り戻していくロブ。
それによる不安定な精神状態。
森はロブにとって怖い場所である。

しかしケイティーの事件を通して、森がそれだけの場所ではなかったと気付く辺りが好きです。
その事に気付いただけでも、いろんな物を失ってしまったけれど、この先への確かな一歩になった気がします。


まぁ、ロブが情けない描き方をされてますが、友達2人を失った生き残りとしては、理想的少女を守るヒーローと自分を位置づけてしまうのも仕方がない気がする。
かつては護れなかった自分、その代理でもある。

一方、キャシーはとても強い。
自分を律する力を持っている。
しかし人間、強いばかりなはずはなく、ふと見せるもろさもある。
これをロブが気付けなかったのも、また仕方がないと思う。

事件のすべてが片付くわけではないので、この点で評価が分かれるかも。
私はこの終わり方も良かったと思ってます。
作者も言ってますが、描きたかったのは、「事件のその後」だと思えるからです。

自作はキャシーが主人公だそうで、今年の夏に発売予定。
読むのが楽しみです。





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最終更新日  2010年05月12日 21時55分59秒
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