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カテゴリ:小説・海外
あらすじはamazonからのコピペ。 パリで平穏に暮らす45歳のアメリカ人記者ジュリアは戦時中にこの街で起きたユダヤ人迫害事件を取材することに。 しかしその事件が彼女の、そして家族の人生を深く、大きくゆさぶりはじめる…。 ジュリアはアメリカ人で、フランス人の夫とパリで暮らしている。 ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件の記事を書くことになる。 一方、1942年、フランスに住むユダヤ人のサラは一斉検挙により収容所に送られる。 その際、サラは弟を隠し納戸に入れて鍵をかける。 すぐに帰ってこれるつもりだったから。 ジュリアとサラ、2人の話が交互に語られ、やがて1つに交わって後半が進む構成です。 ヴェロドローム・ディヴェール大量検挙事件とはナチス占領下のフランスで、フランス警察により行われたユダヤ人への迫害です。 ジュリアは夫を愛しているが、一方、フランス的な性格に疲れてきてもいるんですね。 しかし実は、そのフランス的な部分をこそ愛していて、夫が弱い男である部分は見ようとしなかったと言うことに気付くまでのジュリアパートが素晴らしいと思いました。 で、本筋ですが。 サラは収容所を抜け出し、幸運にも人格者である夫婦に出会います。 しかし弟の一件から解き放たれることは終生なかった。 全てをなかったことにして、新しい自分になろうとしたにも係わらずです。 どうやっても立ち直れない傷と言うものがあるのだと、思い知らさせます。 ジュリアが真実を求めて突き進むあまり、傷つけてしまった人物もいる。 人は知らないでいられるなら、その方が良いこともあるんじゃないかと思ってましたが、先ず知らなくてはならないのだと、どんなに辛かろうと知らないでは済まされないこともあるのだと、それも感じました。 たまたまユダヤ人迫害を扱った本を続けて読んだのですよ。 サラが小説の中で「何故ユダヤ人は嫌われるのか」と問う。 ユダヤ人の人となりから来るいろんな説を私も聞いた事がありますが、やっぱり長く「ユダヤ人とは」と教え諭されてきた歴史によるものなんでしょうか。 バックに宗教が絡んでるだけに、実に恐いと思う。 難しい内容はなく、大人だけでなく、中学生くらいからの子供にも読んで欲しい本です。 こう言う本が高いって言うのは、仕方がないこととは言え、実に残念です。 作者はフランス人の血もひき、フランス在住です。 自国の、消し去りたいであろう過去を、小説と言う形に昇華して描くことを尊敬します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年08月30日 21時19分11秒
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