金融商品のリスクって何?
仕事柄、金融商品を販売する人たちと話しますが、最近どうもこの人たちは「金融商品のリスク」を理解していないのではないかと思ってきました。例えば、初めて投資信託を購入しようとすると、金融商品取引法に従って、その商品について長々と説明を聞かされます。(販売する銀行員・証券マンは気の毒ですが)「この商品は、元本を保証するものではありませんので、経済情勢によっては購入価格を割り込むことがあります。」「分配金は確定したものではありませんので、増減することがあります。」などと説明します。そして「ご理解いただけたでしょうか?よろしければ購入契約をしてください。」となります。これは投資家保護のために「リスクの説明をしよ!」ということになっているのでしているのでしょうが、実際は「リスク」の説明ではなく、「リスク要因」の説明に過ぎません。リスクとは経済の言葉では「ブレ幅」のことです。よく出されるのが、飛行機の例です。「これから出発する当機は、到着までに100%墜落いたします。」という飛行機には誰も乗らないでしょう。この場合「墜落する」ことはリスク要因ですが、リスクではありません。リスクとは、リスク要因がどの程度起こりうるか想定した数値とのブレ幅のことです。この飛行機の場合、100%墜落することがわかっているので、ブレ幅が無くリスクは0ということになります。従って、金融所品販売業者が説明しているのはリスク要因であって、リスクは一切説明していません。そりゃそうです。そんなこといちいち説明していたら、日が暮れて仕事になりません。そこでFPは、その投資家のライフプランを作成し、いつまでにいくらのファイナンスを用意しなければならないかを明示し、いくらなら消えてなくなってもよい金か、いくらは半減してもよい金か、あるいはいくらは必ず確保しておかないといけない金かを提示します。これがリスク許容度の説明です。金融商品取引法では、顧客の「リスク許容度」を説明せよとはなっていませんので、販売業者さんはそこまでする必要はありません。そうこうしている内に、販売側も何となく「リスク」の説明をしたかのような気持ちになってしまうのです。FPは、そこのところを補完しますので、商品購入の前に是非お立ち寄りいただきたいと思う次第です。