細雪
文学はニガテだ。と思う。
ドロドロだよ~と言われて読み始めたがどろどろというよりうじうじ。
四姉妹の次女目線でお話が進んでいくんだけど、どうという日常が淡々と進むだけで、
特になにかあるというのではない。
しいて言うなら三女雪子の縁談話がえんえんと本編を貫き通していることくらいか。
つまらん。
が、しかし。
どんどん、どんどん読めちゃうのよ。
何があるわけでもないのに続きが気になって仕方ないのよ。
文章がキレイなのかな。
描写がなめらかなのかな。
心理描写がスグレテいるのか?
う~ん。
心理描写と言ったって詳しく書かれているのは次女の幸子くらいなもので、他は「なに考えてんだ?」ってのばかりだったような。
あ。
その、幸子サン。
感情がコロコロ変わったり、愛おしくなったり小面憎くなったりとなかなか忙しい。
感情的ですぐ涙がこぼれちゃったりするし、波風立たないようにうまく逃げちゃったり。
なかなかシモジモと変わらない感情をそこここに見せてくれました。
この舞台になっている1938年辺りの時代?
どんな時代か知らないけど、昭和だよね。
それなのにこんなにも身分差が、どっしり残ってたりするもんなのか。
戦争でメチャクチャになる直前の時代だからなのか。
う~ん。なんだろな。
文学なんてほとんど読まないから他のものがどうなのか比べようもないけれど。
面白い…のか?
でも文庫本三冊。すらすらと読んでしまった。
長編の割りに、コレ誰だっけ?とかこの話ドコから出てきたっけ?とか
迷子にもならず、するするとつながっている。
オイモの葉っぱをひょいと引っ張ったら、お芋がどっさり取れた感じ?ナンダソリャ。
コレが文学と言うものですかネ?
四姉妹の生活がうまく絡んで、すんなり円満、大団円かと思いきや。
最後に明暗くっきりな感じに流れて終わるのだけど、ワタシの悪い癖で果たして幸せになったのはどっちかしらん?
と、しばし考えた。
自分の思い通りに生きることと、流れに逆らわず敷かれたレールをおとなしく進むのと。
時代が違うと言ってしまえばそれまでなんだろうケド。
ひとそれぞれと言ってしまえばもっとそうなんだろうケド。
読み終えた後もしばらくずっとぐずぐずいろんなこと考えましたね。
ただ。
コドモが二人も死んじゃうのはやりきれないよなぁ。
それだけ文句をいいたい(それだけじゃナイダロ)
細雪 谷崎潤一郎