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カテゴリ:お仕事!
次の例も知られざるエピソードだろう。
「いまヤクルト本社がアジアを中心として新興国で大人気になっていますが、その背景には'70年代から始めている社会貢献活動がここへきて実っているという点が見逃せない。 '70年代当時、自動車、電機メーカーが一斉に欧米に進出する中、同社は途上国に進出した。 その目的は、医療環境が未整備で薬価も高い途上国で問題化していた健康問題を、 消費者に手の届く価格でヤクルトを提供することで解決しようとしたことにある。 しかも現地の人をヤクルトレディとして採用することで、 .女性に就業機会を与えることまでしている。 そうした同社の熱いハートや心意気が長い年月を経て理解され、 世界同時不況下でも絶好調の業績を上げる土台となっているのです」 (企業経営に詳しいジャーナリストの勝見明氏) 日本に残る「100年企業」にも、社会貢献のこんな精神が息づいている。 「カマボコ業界は生産量が30年前をピークに右肩下がり、業者数もピーク時の2500社から1000社へ激減している。 その中で1865年創業の鈴廣はいまだ健在です。 同社が先代からずっと語り継いでいる言葉に 『こすからいことをやると天罰が下る』というものがある。 いまも社長はそれを守って、 『後ろめたい気持ちが残るような仕事だけはやりたくない』 『100年も150年も商売をやらせてもらっているのにそんな経営をしてしまっては申し訳ない』 と考えている。 無謀な事業に走らず、ただカマボコ業を確実に継続していくことが与えられた使命として経営してきた。 それでこの会社はいまも元気に生き残っている」 (経営コンサルタントの岡本享二氏) 目先の利益を追うあまり短期間で消費され捨てられてしまうようなモノ作りをする企業がバタバタ倒れていくのを横目で見ながら、 ヤクルト本社、鈴廣の両社は必要なモノを、必要なだけ、必要な人に届けるという企業の本分をまっとうしてきた。 そんな当たり前のことが、企業の生き残りの「重要条件」となっているのだ。 そしていま世界中の市場が開拓され、消費が飽和状態となる低成長時代に入った。 パイの拡大が頭打ちになる中で、それを独り占めしようとする企業には消費者からの容赦ない制裁が下る。 「自分だけが儲かればいい」と考えている企業が生き残れないのは、 ウォール街から始まった反格差社会デモを見ても明らかだ。 「あまり知られていないが、アメリカでは市民団体が'80年代から『ショッピング・フォア・ア・ベターワールド』という本を出版し、何度も改訂版が出されている。 これはどういった企業が、環境保護などどのような社会貢献を行っているか、また逆にどのような環境破壊活動を行っているかを詳細に評価しているもの。 大量消費国家と呼ばれるアメリカでさえ、消費者は企業の傲慢度をチェックしながら、商品選択の基準にしてきた歴史がある」 (ジャーナリストの嶌信彦氏) このほど米アップル社が生産委託などでかかわる取引先156社の実名リストを公表して話題になっているが、 その背景には「労働環境が劣悪な現地企業と取り引きしているのではとの批判がかねてより報じられる中で、会社の実態をつまびらかにすることで憶測を払拭する狙いもあった」(全国紙経済部記者)と見られている。 さらに前出・竹井氏によれば、 「いまハーバード大の卒業生のうち、20%近くがNPOに就職を希望している。 優秀な人材を確保するためにも、企業にとって社会貢献が重要になっている」 少子高齢化。東日本大震災。欧州危機・・・・・・。 七重苦、八重苦ともいわれる環境を言い訳にして、赤字決算を垂れ流す企業がある一方で、 見てきたように、外部環境にかかわりなくうまくいっている企業はこんなにある。 早稲田大学大学院教授の内田和成氏もこう言う。 「いま日本では家族構成に変化が起きていて、 一人暮らしの世帯が約1500万世帯、全体の30%ほどにまで増えた。 中でも若い人の一人暮らしが多くを占めているのが特徴的です。 さらに30代女性の未婚率が増える時代にあって、 一人暮らしの女性が冷蔵庫にある、あり合わせの食材で手軽なメニューを作れるような レシピを提供するクックパッドが業績を伸ばしているのは当然のこと。 青山フラワーマーケットを展開するパーク・コーポレーションは、ターミナル駅に店を構え、安価にブーケを売る。 知り合いに花を贈りたい、家のキッチンに花を添えたいと思ったときに、わざわざ駅から離れた花屋にいくのは面倒と考えていた人がその場で買えるから重宝されている」 株式市場の圧力に屈して強引な拡大策に出るのではなく、消費者が必要としていない過剰なサービスを押し付けるのでもない。 世の中の役に立つ商品やサービスを生み出す。 自分だけが儲けて、周りを困窮させることもしない。 消費者、従業員、取引先、地域社会のみなが一緒に幸せになるために、なにをすればいいのか一生懸命考える。 そんな当たり前のことを普通にやりとおせる企業が、いま元気に、日本中で活躍している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012/02/01 06:58:46 PM
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