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2005年12月25日
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カテゴリ:読書
ノリ・メ・タンゲレ 作画・道原かつみ/原作・麻城ゆう 徳間書店
アラスジ:第三次世界大戦後、大脳工学の発達により意識改革をなした人類は、西暦を銀河暦と改め、新たなる文明を啓いていた。その一端として、意識の分離による過去遡行を可能とし、“歴史調査局”の手により第三次大戦以降の歴史探索がなされている。“調査官”は過去の人物にシンクロニティし、その肉体を通して、歴史を検分するのだ。だが、或る時、歴史の可動性を標榜する学者が違法に過去遡行してしまう。彼の目的は、歴史の改ざん。それを阻止する為、調査官も急ぎ過去に追う。学者がシンクロした“神の子イエス”の行動を監視する為に、その“使徒ペテロ”にシンクロして。そこに、一心にイエスを見守るユダが絡み……。神とは、人間の思考とは。壮大なテーマを描いたSFコミック。

久々にマジメに感想書いたら、up寸前、何故か接続切れてた……。ガックリ
不貞寝しようかと思ったけれど、悔しいので再トライ。
“感想を書くときは、必ずメモ帳から”の教訓を、毎度性懲りも無く忘れる自分が憎い。

さて、そのメモ帳に書きかけて放置してある雑文やら、本日の鬼の感想やらを書くべきなんでしょうが。
今朝は、朝から曰く言い難い30分を過ごしてしまったので、鬼についてはもう少し熟成させてから。
日付が変わっちゃったけれど、クリスマスに因んだ一冊を。
実の処、大掃除と称して本棚を漁っていたら、引っかかっちゃったのだw
いやぁ、大掃除に本棚は鬼門だね。
でも、部屋に溢れた本を片付けねば、掃除は進まないし。ウウム

最近、あまり新規開拓する元気が無くなっている。
気がつきゃ、手垢にまみれた古い本を、飽かず繰り返し読んでいる始末。
今年に入って、本何冊買ったかしらん。
漫画に至っては、もう何年も買ってない気がする。(年なんだから当たり前だけど)
これ言っちゃうと年寄りじみた感があって嫌なのだが、「昔の作品の方が面白い」んだもん。
事、少女漫画の世界に関しては、80年代のパワーって凄かった。
少女が少女である事のカテゴライズにに反逆し、ありとあらゆる素材をテーマとした作品が描かれていた。
この「ノリ・メ・タンゲレ」もそんな中の1つ。
SFと宗教、人間の想いを絡めて、底力のある作品に仕上がっている。
作画の道原かつみは、あの「銀河英雄伝」を漫画化した作家として有名。(未読だけど)
他の作品は一部を斜め読みした程度なのだが、この作品は、そのテーマと画力に惹かれて購入した。
最近の画風は知らないが、力強い線で、重みを感じさせる体を描く事が出来る、貴重な女性漫画家の一人だ。

「ノリ・メ・タンゲレ」―私に触ってはいけない。
イエス・キリストが復活を遂げた朝の言葉である。
だが、本作では、真に意味のある「ノリ・メ・タンゲレ」は、別の人物から発せられる。

話は変わるが、自分自身の思考なのに、もどかしさを感じたことはないだろうか?
自分の頭で、自分が考えた事なのに、上手く理解や表現が出来ない。
何となく判ったつもりでいるが、実は何処まで把握できているか不安。
私はしょっちゅうだ。
現に今、「あぁ、何を言いたいんだろう???」と自分の感想を持て余しながら、無い知恵を振り絞って描いているしw
そんなおばかさんを尻目に嘲笑うが如き設定なのが、本作品。
意識革命をなした未来の人間は、脳細胞をフルに活用し、意識レベルだけならば過去へも遡行する事が出来る。
実に羨ましい話だ。
だが、同時に、その世界は“神”や“信仰”と言った、揺らぎに満ちた思考を打ち捨てた世界でもある。
そんな合理性の未来知性と、不条理な情念の古代感性が交差することで生じる、葛藤と融合を描いている。

我々の思考には常に無駄が付きまとう。
その無駄が揺らぎとなって、文化や宗教を生み出すのであろう。
私は、宗教に関しての知識も乏しいし、信仰心もこれっぽっちも持ち合わせぬ、弱い人間である。
(信仰を持つのは、或る種の“強さ”だと思う。神=他者に自己を預ける度胸なんて、あたしゃ到底持てませぬ。)
そんな者だが宗教には胡散臭さを感じており、この作品のように逆説的な解釈をするものをみると、フムフムフムと興味を惹かれてしまう。
この作品の中では、教義は兎も角、イエスは悪役扱いだし。
裏切り者ユダは、極めて純粋な人物として描かれている。
見た目も可憐な美少年だしねw
ペトロ/調査官が、歴史の保持と言う使命に沿ってイエス/犯罪者を監視しているのに対し、ユダはその率直な感性と無垢な信仰心で、イエスに懐疑的な眼差しを向ける。
ユダ自身、ある秘密を抱えており、それ故、人一倍イエスの事を想い愛している。
歴史を変えたいイエス/犯罪者、正史を守りたいペテロ/調査官、そして余りに真摯な想いを抱えるユダ。
3者の葛藤が丁寧に描かれており、よって、既に読者は知っている悲劇(ユダの裏切り)に至る意外性が際立つ。
この作では、イエスの自作自演として描かれており、ユダは単なる駒にしか過ぎない。
(更に言えば、イエス自身が、銀河暦人に操られた駒なのだが)
駒だが、ユダにはユダの想いがある。
誰よりもイエスを愛し、守ろうとした想いが。
そんなイエスを、愛するがゆえに手にかけてしまうユダの行為は、究極の自己犠牲なのかもしれない。
その果てに発せられるのが、「私に触れてはいけない」と言う、哀切極まりない叫びなのだ。
(うー、無駄な思考に満ちた者ゆえ、上手く言い表せない。唯一言、“読め”と言い捨てたい気分だw)

ユダとペテロの心の交流の描写が、丁寧で良い。
イエスを監視する張り詰めたペテロの描写と、コントラストをなす。
総じて、心理的描写は悪くないのだが、残念な事に、根幹を成す“大脳工学の発達によってもたらされた、脳細胞のフル活用”についてのツメが甘いのが気になる。
具体的な姿が見えてこない。
“思考を分離し、過去の人間とシンクロさせて歴史探索”する設定と、“暗示をかける”能力くらいしか、表記されていない。
未来人たる調査官も犯罪者も、脳味噌をフル回転させている、無駄な思考を排除した人間には見えないのだ。
もう少し、そのあたりを突っ込んだ描写があれば、よりこの世界を深めたのに。
ただ、発想は骨太で面白いと思った。
人間の能(脳)力のフル活用と言うテーマでは、後年「ナイトヘッド」と言うヒット作があるが、それに先んじた発想は、当時中々斬新なものとして評価されたと記憶している。(私のザル脳の記憶なので、アテにはならぬがw)

作中、人間が操り損ねた思考は集団エネルギーとなり、“壁”なる磁場を発生させるとなっている。
打ち寄せられた、有象無象の想いが、大いなる壁=神を発生させたのだと。
となると、私なんぞは、相当なエネルギーの寄与をしているはずなのだが。
“神”に寄り添い損ねているのは、不器用な人間なんだろう。
大いなる壁に触れるのは、勇気がいるからね。
人類の巨大な情念を“神”に転化させた中近東の大工の息子さん、一寸遅れたけれど、お誕生日おめでとう。
メリークリスマス。





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最終更新日  2005年12月26日 03時58分52秒
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