カテゴリ:本
好きです。鴨居羊子(かもいようこ)さん。
1924年、大阪に生まれ、読売新聞記者を経て、 下着デザイナーとして独立したと女性です。 下着のデザインと制作を行うチュニックは、現在もあります。 (チュニックHPでは、25年生まれになっていますが、 私の愛読書「カモイクッキング」ではなぜか24年。どっちでしょうね) 鴨居羊子さんをはじめて知ったのは、もう随分前ですが マンションの裏にある市民芸術村で行われた無料の映画上映でした。 映画のタイトルは 「女は下着でつくられる」 それまで、下着と言えばメリヤスの退屈なズロースなどしかなかったのですが、 清純に、しきたりを守って生きていた女達の頭上に、 突然舞い降りる色とりどりの美しい下着。 映画はモノクロでしたが、きっと赤や黒、黄色や青、緑、オレンジ、 水玉や花柄、素敵なレースの下着だったのでしょう。 降ってくる美しい下着に、女性達は我を忘れて飛びつきます。 女性達は手に入れた下着をこっそり身につけます。 女性である喜びと内側から湧き出る華やかな感性が開きます。 どんなに大人になっても、少女のような気持を持っているのです。 風紀委員のような人物が、止めにはいるのですが… … 女性を解放する女性、というのがいらっしゃいます。 男好みのドレスに合わせて苦しいウエストニッパーをつけていた時代に パンツスーツ、パンツルックを提案したのはココ・シャネルです。 女性はそのころから、パンツスーツを着て、社会に飛び出したのですね。 シャネルは、服の形をデザインしたのではなく、 服の形を変えることで、女性の人生をデザインしたのです。 今も働く女性に愛されているココ・シャネル。 なんとなく釈然としないシャネルファンも多いのは事実ですが… 鴨居羊子さんに、シャネルと同じにおいを感じてしまうのは私だけ? 鴨居羊子さんもまた、女性を下着によって変化させた女性なのです。 ところで、カモイクッキングという文庫が今、手元にあります。 くらしと料理を10倍たのしむ、というサブタイトルもついています。 この本は、食べ物エッセイなのですが、 鴨居羊子さんの大らかでのびのびとした感性が溢れています。 下着デザイナーなのに食べ物?と思う方もいらっしゃいますでしょうが、 一度騙されたと思って触れてもらいたいですね。 小さな文庫本の中に、彼女の周りにいた人達のエピソードや お料理や食材を通して、何気ない愛情や滑稽で可笑しい話や、 ちょっと哀しい話が詰まっています。 どのエピソードも最高におもしろいのですが、 特に私が好きなものを1つとりあげましょう。 「大連慕情」というタイトルです。 鴨居羊子さんがよく料理を教えてもらっていた医院のマダムのお話。 マダムの生活に創意と工夫が溢れている、そんな様子が描かれています。 若いときに大病をしたマダムは、短い人生を予感し、幼い子供達のために 「毎晩クリスマスのような料理作りに専念」したのです。 ちなみにマダムは手作りの料理で元気になったそうです(笑) 素敵です。 私はお茶を習っていますが、 お茶をやっていると、「このひととき」の大切さを毎回教えられます。 明日になればもう、二度とこうしてお茶を飲み語らうことも無いかもしれない、 という状況(戦場ですね)のなかで、 今、自分が誰かに対して出来る精一杯のおもてなしが茶の心なのでしょう。 鴨居羊子さんの描いたマダムは、それを実践されていた。 難しいことではないのです。 残り物の野菜で作った食事のあと、ポットのお湯でお茶を入れたとしても 同じ空間で今この時を一緒に過ごすというのがどんなに大切なのか… という事です。 なんで大連慕情というタイトルなのか、は、 機会が有ればお読みください(^^ゞ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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