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カテゴリ:マンタナニ島
それは、たしか7月22日未明に突然おとずれた。
お客さん二人を乗せてダイビングより帰ってきたボートは 怪しい影をとらえた。 ボートマンのマルビンは最初「イルカがいる!」 と叫んで、後になって考えを改めた、こんなところにイルカがいるはずがない!と イルカではない!と叫ぶよりも速く、ボートマンのロイスと僕は素早く 海に飛び込み、その大きな影に近づいた。 そして、真上からその奇妙な影の正体をとらえた。 「うわ! ジュゴンだーーー、アワワワワーー」 その姿は従来のジュゴンのイメージとは異なり、すごくきれいな姿をしていて いささかそれはやせ細っているようにも見えた。 綺麗で無駄がない完璧な形だと思った。 そして、かつて人魚と見間違えたというのもまんざら嘘ではないなと思った。 そんなことを一瞬のうちに思っていると、ロイスは興奮してものすごい勢いで海に潜り、 ジュゴンを追いかけようとして、泳いで行ってしまった。 僕も慌ててロイスを追いつかまえ、「ジュゴンを追うな!驚いて逃げてしまうだろう!!」 とかなり興奮して、初めての運動会のかけっこでゴールをしてもまだ興奮さめないような 顔をしたロイスをなだめた。 しかし、それはもうすでに遅く、ひと時の出会いは一瞬にしてはかなく幕を閉じてしまった。 「なんて綺麗だったのだろう」「この世のものとは思えない不思議な感覚、出会いだった」 と、 この世のものとは思えない、完璧に美しい絶世の美女とすれ違い、その人が一瞬にして人ごみに消えてしまった様な感覚にとらわれた。 そう、このようにして、ボートで水面に移っている彼女をみつけ 海に飛び込んでいったのです。 水面から下を見たときの彼女の姿はまさに神秘的で 水さえいつもの様子とはまったく違っているように見えた まさに人魚、イルカのように美しく、物音もたてずにすーと遠くに泳いで行ってしまった まるで水の泡に消えていくように 一般的なジュゴンは少しからだが丸くコロコロしていて、愛嬌がある感じ しかし、彼女は何かが違っていた。 また、すぐ戻ってきてくださいな 彼女が戻ってくるための環境を整えるのが僕の使命に思えた。 いつでも、人生の岐路や、何かいつもと違うことが起こった後は 虹が出る、今日も海の中にまで届くきれいで神秘的な虹が現れた。 まるで彼女がその虹を渡り、どこかに行ってしまったかのように 少しもの哀しい虹ではあったが お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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