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カテゴリ:セブ島
ドボーーン!!とボートから飛び込んで、プシューーと空気をBCから抜いて
海の中へ潜降していく、まさにその瞬間、ダイビングのもっともクライマックスであり 僕が気にいっている瞬間。 旧世界から新世界への旅路の出発点であり終わり、この先はまったく違った感覚の世界へと移行していく。 少し旧世界への名残惜しさもあり、もう行っちゃうんだーと後戻りできない、 人間が呼吸ができ、自由がきく、ある程度わかった世界から 当たり前の呼吸さえできず、当たり前すぎる浮力さえままならない、未知への世界へ しかしその未知への世界への冒険こそが今まで人類を人類たらしめる事柄へと導き、 コンニチ人類がこうして生き抜いてきた最大限の原動力でありワケであると思う。 それだけ違った世界への移行とは気づかないうちに海の世界へと入っていくが 地上に戻って来てからすごく不思議なのが、海の世界の記憶が断片的で、地上にいた時と違った記憶のプロセスを辿っていると冷静に思い返しても辿りつく。 ましてや、海の世界へ入って行く前までに地上で考えていたこと、思っていたことは 不思議と海の世界でうまく消化され、再び地上に戻ってきた時には まったく違ったものへと変化している。 例えば極端な話、僕達プロはあくまでも仕事として潜っている時も多々あるのだが、 潜る直前まで、他のスタッフとのコミニケーションがうまくいかないことや、お客さんが言うことを聞いてくれずに、ストレスを抱えることはあるが 海の中へ入った瞬間からそれらは緩和され、やがてそんなことまあいいか、に不思議とかわっていき、地上に戻ってきたころには完全にそんなこと忘れているか、どうでも良いことに変わっている。 それよりもっと地上という時間軸の中で昔のことにあたる、自分達それぞれの仕事のことや、会社の人間関係、日本という国で起こる些細なこと、満員電車での通勤や、梅雨のジメジメした気候などは、もうなかったことのようにして面白いようにキッパリと忘れ去られていく。 この大きな自然とりわけ、地球創世記からある大海の中では何でもないことのように、 シロナガスクジラが目にすらまったく見えない小さな小さなプランクトンを大量に飲み込むように、一瞬のことにして飲み込まれていく。 ダイビングにはそんな壮大な癒しのプロセスが存在し、心身共にまさに癒され、言葉通りにリフレッシュ、生まれ変われる感覚に浸れるのが僕にとっての最大の魅力だと思う。 人間はどう頑張っても魚にはなれないのかもしれないが、 昔は同じ世界にいた住民として、気持ちは分かち合えるし、その世界へ ホンノ一時かもしれないが戻るチャンスは技術の進歩と共に与えられた。 どちらの世界も知っているということは、ある意味長い人生において すごく重要なことだとも思う。 魚達も地上の光の世界に憧れているかもしれないが、それはままならない。 彼らの世界へ足を踏み入れ、彼らとただより沿ってみるだけで、 何かが見えてくることもある。 海の中には海の中でまた地上世界よりも長い歴史を歩んできて なおも存在し続ける、完成された世界が存在する。 人間は便利さを求め過ぎ、行き過ぎた便利さは人間自身を実は不便にし、むしろ進化どころか退化にさえ導いてきているのではないか? 原始時代に戻ることは人類にはもう到底できないと思う。 この便利さを完全に捨て去ることもできないと思う。 ただ、この不自然な便利さから一旦離れた世界を経験することは またその便利な世界へ戻った時に違った意味あいの示唆を与えると思う。 どちらか一方の世界しか知らないというのはある意味危険すぎる。 僕がダイビングで海の世界や、旅で違った世界を見ることを勧める理由の一つはそこにある。 今の便利で完結した世界が良いと思うなら、これが僕の世界のすべてだ、他に何もいらないと言うならば、一回別のまったく違った世界を見てから言って欲しい。 いろいろ違った世界をただ単純に知っているだけでも、いざという時の心の糧になると思う。 大災害や不測の事態が起こった時にも、そういえばいろいろな世界があったなと こればかりが特別なことではないし、そういう世界もまた一つだなと心のゆとりができてくると思う。 生きとし生けるものは海に生まれ、海に帰って行く その原始的とも言える魂の感覚は誰にでもあるものだと思う 混沌としたこの時代こそ原点に帰らねば いつ帰るの? 今でしょ!! 原点への里帰り、私は今海に帰ります。 長い人生という旅の途上で、 一回立ち止まって、原点回帰したい、自分を根本から見つめ直したいという衝動 ココではないどこか遠くへ行きたいという 自分の内なる何かから来る自然な衝動 それに素直に従うのもありだと思う。 そういうワケで、私はダイビングと旅をオススメする お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.06.28 10:58:02
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