神秘の街、メテオラ。
その絶景に魅せられて夢心地。
それはいいのだが、本当に時のたつのを忘れてしまっていた。
気がつけば2時半である。
4人もいて、誰もそれに気がついていないのである。
それほどにメテオラが魅力的との解釈もできるが、4人が揃いも揃って「バカ」とも言える。
さあ、大変。
残された時間は5時間半。
来るときには6時間半かかっているので、1時間の短縮が必要となるのだ。
「ま、しょうがないね。この際、レンタカーは2日分払うことにして、夕方までゆっくりメテオラを堪能することにしねえ?」
と、わしは提案した。
「ダメ!絶対ダメ!」
その提案は、他3人によって、即座に却下されるのであった。
こうして何人かの日本人バックパッカーと交流してみて感じたことが一つある。
それは、「いかに安く旅をするか」が一番の大事になってる風潮があることだ。
たとえば、朝ごはんにサンドイッチを買ってきて食べていると、
「それ、いくらでした?」と聞かれる。
「200円くらいだけど・・」と答えると、うわ!バカ一匹発見!みたいな顔されて、
「マジ?それどこそこの店なら150円で買えるよ!200円だしたの?マジで?うわー」とか言われる。
ほっとけ、と言いたい。
安宿など、日本人旅行者が集まる場所での会話は、それこそ
「○○に行くなら△△が安いよ」
「いや、△△より、◇◇が若干安いよ」
「いやいやいや、◇◇は最悪だって。それより○△を×○すると結局一番安いよ!」
なんて議論が熱く語られているのである。
わしはそのへん大雑把な性格であるし、別にビンボー旅行にこだわっているわけでもないので、
何を買うにも、どこに行くにもテキトーなので、
こうした場所ではいつも「え?まじでそんな値段で買ったんすか?」などと失笑されるのである。
ほっとけ、と言いたい。
話は大きくそれたわけだが、要するにわしの「レンタカー代は二日分払うもやむなし」案が、
まったく考える余地もなく却下されるのにはこうした事情があるのだ。
となれば、無理とは思いつつも、全速力でアテネに戻らねばなるまい。
「1時間短縮しないと間に合わない」
この事実が、国内A級ライセンスを持つ「テツオ」のドライバースピリッツに火をつけてしまった
ことを、我々はまだ知る由も無かった。
つ づ く
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