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カテゴリ:海外
メテオラ強行日帰りツアーの翌日。
Tさんは「とりあえず北に向かう」と言って去っていった。 また一人に戻ったおいらは、一日アテネ市内をぶらぶらと巡った。 そして夜、食事をすませてユースホテルに戻ると、受付の女性がこう言って メモを渡してきた。 「ミスターTから電話があり、伝言を預かっています」と。 その伝言の内容はこうだ。 「グリーンショップに忘れ物をした。回収して日本に送ってもらいたい。」 以上。 ・・・・え?そんだけ? 忘れ物って何?何を忘れたの? あと、グリーンショップってどこ? 受付の女性が言う。 「なんだかいろいろ言ってたけど、私に聞き取れたのはこれだけなの」と。 暗号か?それともなぞなぞか? この情報でワシに何をしろと言うのだ。 そこでピーンっと来た。 前日、メテオラ隊の打ち上げでビールを飲んだレストラン。 店の名前なんぞ知りはしないが、そこのテーブルクロスの色が「緑」であった。 「なるほどぉっ!」 グリーンショップね。了解! わしは記憶を頼りに、その店に向かった。 店に着くと、見覚えのある店員がいた。 声をかけると、向こうもオイラを覚えていると言う。 そりゃ話が早いってんで、さっそく「何か忘れ物がなかった?」と聞いた。 すると向こうから、当然な質問が帰ってきた。 「忘れ物ってなに?」 ・ ・ ・ 「いや、それが何かわからないんだけどね・・・・・」 困惑する店員さん。 すまぬ。そりゃ困るよね。 「何も忘れ物などなかったと思いますが・・・」と言われれば、 「いや、何もなければケッコー!さんきう」と答えるしかない。 店員さんから浴びせられるマシンガンのごとき「?」を全身に被弾し、 ヨロヨロと生還。 そしてその「?」は大きなひとつの塊となって、おいらの頭上に点灯した。 Tさんよ、グリーンショップってあのレストランのことじゃねーの? そして何を忘れたのだ? わざわざ移動先からアテネのユースに連絡するくらいだから、大事なものなんでしょ? なんとかしてあげたいが、あんな伝言じゃワカンネーヨ・・・・。 これ以上は考えても無駄。 きっとまた電話してくるだろう。 そう考えたワシは、一旦捜索を打ち切ることにしたのであった。 それから、アテネには同じユースホテルで何日か泊まったのだが、 結局Tさんからは何の連絡もなかった。 謎のメッセージは「謎」のまま、お蔵入りとなったわけである。 それからずっとこのメッセージのことが気になっていた。 ずっと考えていた。 そうしてある時、「あ!」とわかっちゃったのだ。 間違いない。 メテオラ行きの直前、Tさんは服を洗濯に出していた。 一緒に食事をしに行くついでに寄ったので、その場においらもいたのだ。 そう、Tさんはきっと 「クリーニングショップ」と言っていたのだ。 電話口で、片言の英語で必死に訴えるTさんが目に浮かぶ。 「クリーニングショップ!」 「グリーン?グリーンショップ?」 「イエース!クリーニングショップ」 ・ ・ ・ 謎は解けた。 Tさんはクリーニングに出した服を回収するのを忘れて、次の町へ移動してしまったのだ。 ふ・・・・なるほどね。 いまさらですが、この場を借りて、Tさんへ報告します。 「悪いね、Tさん。 それに気がついた時、すでに遅し。 エーゲ海の島へ渡るフェリーの中だったおいらだよ。 あなたのシャツ、そしてジーンズは、アテネの小さなクリーニング屋に 引き取り手のない預かり物として、ずっとあり続けるでしょう・・・。 フォーエバー。 あ、ちなみにもしアテネで気がついていたとしても、 日本に送ったかどうかはわかりません。 だって、あんなボロボロの衣服より、 日本への輸送料のほうが高いにきまってますから。」 さようなら、Tさん。 最後にステキなメッセージをありがとう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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