カテゴリ:義母の死
義母に食事を届けるようになって
1週間ほどたったある日、 義母は定期検査のために病院へ出向いた。 中国の病院は日本と違って、 ひろーい病院の中を診察、検査、お金の支払い、 薬局、治療と、あちこちを回らなければならず、 とても病人が一人で行けるところではない。 まして義母は、薬の副作用でひどく弱っていて、 立ち上がることさえままならなかったので、 病院内を移動することは無理ということで、 検査に行くために車椅子を購入。 家の前まで車をつけて、義父と夫が付き添って 早朝から病院へ向かった。 つばめは義母の食事のことが心配で、 前日の晩に、 「卵サンドでも作ろうか?」 と夫に尋ねたが、いろんな菌が蔓延している病院で 食べ物を食べるなんて不衛生だから、と断られた。 後で、病院から帰る途中に、 ヨーグルトをひとつ飲んだだけ、と聞き、 やっぱり食事を準備すればよかった、 と胸が痛んだ。 病院へ検査に行った晩から義母は発熱し、 翌日も非常に調子が悪そうだった。 義父が病院の血液検査の結果の紙をもらってきたが、 まともに基準値に入っている数値がほとんどなく、 特に尿素、尿酸の値が飛びぬけて高かった。 義母は食欲もなく、つばめが届けた食事も ほとんど食べていなかった。 その日はちょうど、「小年」といって、 中国の正月十五日。 「元宵節」とも呼ばれ、 家族そろって、「元宵」という、 中に餡が入ったお団子をゆでて食べる風習があるのだが、 義母には大きな団子は食べられないだろうと思い、 1cmぐらいのミニ団子をたくさん作り、 ぜんざいにしてみた。 「こんなのだったら、食べられると思うんですが、 お義母さんどうでしょうか。」 と親戚のおばあさん(義母の妹)に聞くと、 食事をしていたおばあさんは、 さっとつばめの手からぜんざいを取って 義母の部屋に入っていった。 自分が義母に食べさせてあげたかったつばめは、 「あ、いえ・・・」 と言っておばあさんを止めようとしたが、 おばあさんは、そのまま義母の部屋に 入っていってしまった。 あの時なぜ、無理やりにでも おばあさんを引きとめて、 つばめが義母に食べさせなかったのか、 と、今でも悔やまれる。 今までも食事を作って持っていっても、 義父や親戚に「後で」とか言われ、 つばめ自身がお母さんに食べさせてあげたことは 一度もなかった。 今日こそは、と思っていたのに。。。 結局このぜんざいが、 義母の食べた最後の食事となった。 つづく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014/03/23 01:28:14 AM
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