ニーハオ中国

うちのチビちゃんは、北京生まれの北京育ち。
一応日本語はそれなりにできるけど、
毎日朝7時半から夕方5時過ぎまで中国の現地幼稚園に通う
チビちゃんの考え方や思考回路は、
かなり中国人に近いものになっている気がします。

そんなチビちゃん、親のつばめは身につけていない
中国式美徳を知らないうちに身につけているようだと
感じた一件がありました。

幼稚園から帰ってきた夕方、
アパートの敷地内で三輪車をこいでいたチビちゃん、
1歳半の近所の女の子を見つけると、
さっと三輪車を下りて、女の子に貸してやりました。
自分の妹にはやさしくできないのに、
よその子には妙にやさしく、
ベルトまで締めてあげたうえ、
後ろから押して遊んでやっています。

女の子もチビちゃんに三輪車を押してもらってご機嫌。
アパートの敷地内を何回もグルグルするうちに、
夫が帰ってきて、子供達も家に戻る時間になりました。

チビちゃんがやさしく、

「もう帰るからね」

と言ったのですが、女の子は三輪車を下りようとしません。
するとチビちゃん、

「じゃあ、ボクの家の前まで乗ってていいよ」

と言って、三輪車を押して家の前まで。
そこでさようならをしようとしたのですが、
小さい女の子はどうしても三輪車を下りようとしません。

するとチビちゃん、
つばめの耳元に口をつけて、こう聞いてきたのです。

「この三輪車、明日まであの子に貸してあげといてもいい？」

つばめが「いいよ」というと、チビちゃん、
うれしそうに女の子のそばに駆け寄り、

「三輪車、明日まで使ってていいよ、じゃあまたね！」

と言って、家に入ろうとしました。
すると女の子、大声を上げて泣き叫びはじめました。
そばにいた女の子のお母さんが、

「この子、お兄ちゃんが帰ってしまうのがイヤみたい」

というのを聞いたチビちゃん、すぐに家に戻って
キャンディーを持って出てきました。

「はい、これあげるね～」

とキャンディーをあげると、ケロリと泣きやむ女の子。
チビちゃんの作戦は功を制し、
女の子はそのまま機嫌を直して帰っていきました。

泣く子にキャンディーをあげるというチビちゃんのやり方は、
日本では一般的ではないかもしれませんが、
中国では割合普通のような気がします。

それにしても。
母のつばめなら、帰る時間になれば、
たとえ近所の女の子がぐずったとしても、
「もう帰る時間だから、ごめんね～」
とか何とかいって、
女の子をサッと三輪車から下ろして、
そのまま三輪車を持って帰るところが、
チビちゃんの行動は、つばめのやり方とは
全然違いました。
相手がほしがるものはできるだけ相手にあげようとする、
というのが中国の美徳としてあるんだなぁ、、、
と感心した次第。

中国人は総じて子供にやさしく、
大人よりも子供優先で物事を考える傾向があります。
女の子がぐずった時、つばめのように
無理やり三輪車を返してもらって
サッサと帰ったとしたら、
「なんてキツイ母親だ」と思われる可能性があります。
チビちゃんの行動の方が、中国では受け入れられやすいのです。
ああ、中国ではこういうふうなのかぁ～、と
子供から教えられたような気分がした次第。
物の貸し借りもしかり。

文化の違いというのは、時に摩擦を生みます。
チビちゃんの行動で、日本では許されないだろうなぁ、、、
と思うことも多々あるのですが、
チビちゃん、中国のいい面も身につけてるんだなぁ、と
ちょっぴりうれしく思った一件でした。


↓雨上がり

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