カテゴリ:仕事・日本語教育
初めての授業、登録した学生たちはまだ誰も来ていないのに、 名簿に載っていない学生がふらりと現れた。 「ここ日本語のクラスですか?お試し授業受けたいんですけど」 という。 そんなのがあるとは聞いてないな、と思ったが、 アシスタントティーチャーが、 この大学は最初の1週間はお試し授業期間があって、 自分の興味のある授業をあちこち見て回れるし、 気に入ったら学科関係なく取りたい授業を取ることができるんですよ、 というので、じゃあまぁ、ということでご試聴いただくことにした。 ほかの学生とちょっと違った雰囲気で、 いきなり英語でバーッと話しかけられたが、 いやいや、私中国語わかるので(というか、英語分からないので苦笑)、 と言うと、中国語に切り替えていろいろ感想を言ったり、 私のパソコンの調子が悪いと前まで出てきて見てくれたりして、 終始ニコニコとリラックスした雰囲気で授業を受け、 授業が終わった後、 「私この授業取ります」 という。ただ、自分は単位がいるわけでもないので、 自由な感じで学びたいのだという。 いやいや、それは困る、 受けるからにはほかの学生と一緒に テストも受けてもらいますよ~、 というと、分かりました、 でも自分は弁護士でしょっちゅうあちこち出張に行くから、 出張の時は外からオンラインで授業を受けさせてほしいという。 弁護士をしながら、いろいろと思うところがあり、 大学の博士課程に入って学んでいるのだとか。 仕事しながら、大学で専門の研究もしながら、 なぜ日本語?と聞くと、 日本の法律書を読みたいのだという。 チャラっとした感じにも見えたが、 動機はごく真面目だったんですね。 いったん受講OKを出したが、 のちに教務課に確認したところ、 私の担当する日本語授業は、日本に留学する学生のみが 受講可能という設定になっているようで、 その方には申し訳ないがお断りすることになった。 その方が授業に参加したのは1回きりだったが、 その学びへの軽やかさが、 私の中に印象深く残った一件だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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