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カテゴリ:こんな夢を見た。
私は、道に落ちているような布切れを集めていた。
でも、人が身につけている布切れが欲しくなって、 とうとうその人を殺めてしまって、そして、 いつのまにか主客転倒して人を手にかけるのが癖になっていた。 同時に私は、妻子ある年配の男性と関係を持っていた。 彼と私とは充分に惹かれ合っていたものの、 私よりも先に彼に出会った女であるところの妻は 異様に嫉妬ぶかく、私たちにいきつく先が無いのは明白だった。 その男性は、スーツとシルクハットとステッキを身につけていた。 一方で、喫茶店だかバーだかの若い店主とも軽い関係にあった。 彼の好意をさらりと利用していただけである。 殺人者であるところの私はいつも一人を終えると 詩のような声明文のような言葉をつらつらと書いた。 それはどうしてだか若い店主の手元に毎回、届いた。 彼は私が犯人であることなどつゆ知らないばかりか それがあたかも「自分の言葉」であるかのように 公に朗読してみせることが気に入っていた。 若い店主の持つその店は、実のところは、 年配男性の妻の「心」なのであった。 厚い和紙のような、薄い油揚のような黄ばんだ油衣の幕が 半分だけ光を透過するパーテーションのように店にはあった。 カウンター席の背後、ひと一人通れるだけの通路とそれ以外を仕切って。 或る時ひとりでそこを訪れた私は、 油衣のパーテーションに、かの男性のステッキが しっかりと絡めとられ、梳きこまれて固定されているのを見つける。 ああそうだったのかと私がどこか納得すると同時に、 若い店主は私が一連の犯人であることを如何にしてか知る。 自分が、不倫と殺人を隠すために体よく使われていたことも。 お互い同時に色々な真実を察して、静かに微笑むほかなかった。 私はいろいろなことを諦めていつもどおりスツールに腰掛け、 店主の他に誰もいない、背後には電気さえついていない店の カウンターに肘をつく。 「もう一度、あれを読んで」と私がいう。 「いいよ」と店主は私の詩を朗読する。 「あなたのその読み方は、本当に好きだったかもしれない」と私が言う。 「ありがとう」と店主が、油の落ちたようなさっぱりとした声と顔で はっきりとした笑顔を見せる。 ================================== という夢を見た。 昨夜は規定量の薬を服んだにもかかわらずけろりと朝まで眠られず、 今日の夕方になって猛烈な眠気が体に満ちてきた。 ああ、ああ、と思って体を任せてみると 上の、妙に心地良い夢を見た挙げ句5時間が経っていた。 夕食も摂らずに深く深く眠っていたようである。 嬉しかった。 眠りとはこういうものだったかと思い出した気がした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009/06/05 11:52:41 PM
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