カテゴリ:経営者のための連続コラム
食事需要を掘り下げる ~初夏の連続セミナー
『四方よし通信』2013年3月号より 2-2-1 “餌性” おいしさを考える上で餌的な要素は非常に重要で、餌的な要素を満たさないとおいしく感じません。 これを私は“餌性”と呼んでいます。 餌的な要素というのは端的に言うと満腹中枢への刺激であり本能へ刺激で、次の五つの要素です。
本能刺激、満腹中枢への刺激 1 食感 2胃袋の充足度 3 塩分 4 糖分 4 咀嚼
塩分はナトリウムで、血中に流れ込むと血圧が上昇して満腹中枢を刺激します。味の素のようなうまみ調味料が重要なのは舌で感じるしょっぱさを低減して体にたくさんの塩化ナトリウムを流し込んでくれるのです。 糖分も同様に満腹中枢を刺激します。小腸か吸収されると血糖値が上がり快楽です。 この満腹中枢を刺激するために重要なのが甘くてしょっぱいタレです。 同時に胃袋の充足が急速であれば、最高です。だから、牛丼を食べたくなるのです。正確には牛丼を食べた刺激を感じたくなるのです。 逆に、咀嚼するということは会話をしながら、ゆっくりとした食事を想像できます。時間をかけて、よく噛んで食べる人は豊かな生活環境で育った人と言えるでしょう。咀嚼は満腹中枢を刺激する胃袋の充足度や塩分、糖分の刺激がなくても満腹感を演出してくれます。したがって、咀嚼は餌を売る外食産業には“敵”と言えるでしょう。 それぞれにとって、餌の求めるレベルも変わるわけですが、“餌性”をおいしさとして習慣化していれば塩分、糖分、胃袋へのボリューム的なアプローチを欠くと、その上の文化的な要素のおいしいを評価するプロセスには至りません。 余談ですが、情報発信するときに、シズル感あるタレのテリが功を奏する時があります。それは、ビジュアルが過去の満腹中枢の刺激の記憶を引出し、欲望に駆り立てられたと考えられます。パブロフの犬のような条件反射的ではありませんが、“うまそうなタレ”がある意味、食欲という本能の欲求を引き起こしていると言えるでしょう。
参考 なぜ、柔らかい食材がおいしく感じるのか なぜ、柔らかい食材が大切かというと、咀嚼せずに、一気に満腹中枢を刺激できるからです。 したがって、マスコミを通じての「柔らかい」=最高級というPRは“餌性”のマスキングに有効に作用します。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.05.29 15:48:07
[経営者のための連続コラム] カテゴリの最新記事
|
|