PPKって知ってます?
PPKって何の略語かご存知だろうか。昔PPMというグループがあったっけ・・とかいう貴女はもう危ないかも。化学物質の含有率(PPM)でもなければ、国連の平和維持軍(PKO)でもない。PPK=ピン・ピン・コロリン(PinPinKoroin)の頭文字。つまり、長生きをし、寝ているうちにあの世にいく・・・ということを簡略的に述べた言葉である。初めに使ったのは長野県の中高年の健康促進のキャッチフレーズだったとか。「長野県民は平均寿命が長い割に一人当たり老人医療費が全国最低で『ピンピンコロリの里』と 言われている」ということから造られた言葉であるらしい。まさか・・・と言う方は現代用語の基礎知識にも掲載されているのでお確かめあれ。若くして死んだのではPPKとは言えない。長生きをして死ぬ直前まで元気で活動的な生活をし、寝ているうちに安らかにあの世に旅立つ。それがPPK。何だか夢のような話であるが、そうなれたらいいなとこの頃思うようになった。歳のせいかな。私の父はもう10年前に亡くなった。長い闘病生活の末だったので、医者に延命措置を、と言われたとき私と姉は即座にお断りをした。このままにしておいてくださいとお願いした。もうこれ以上父の身体に傷をつけたくなったから。辛い思いをさせたくなかったから。姉と私は会話を交わす前に同じことを思っていた。不謹慎な私たち家族は昏睡になりかけていた父の病室で、何時ものようにテレビの野球観戦を賑やかにし、食事をして過した。息子や娘はは父の手をさすったり、たるんだ皮を引っ張ったり、「ねぇ、じぃじ・・」と話しかけたりした。もう直ぐ逝ってしまうかもしれない父に寂しい思いをさせたくないという気持ちもあった。きっとモニターを見ていた病院の看護婦さん達ははらはらしていらしたかも知れなかったが、そのままにして下さった。確かにそれが最後の一夜となった。その父の最期の一言は「かぁさん、俺は死ぬよ」だった。昏睡に陥る前かすかにこういった。なんと最後までかっこををつけてくれるのやら。明治男の気骨だったのかもしれない。父は長い間闘病生活をしていたが頭は最後まで明晰だった。彼は彼なりに死に際を綺麗にまとめて逝った。父のように頭がはっきりしたまま体が衰えてくのを知るのは辛かっただろう。反対に、母のように体は元気なのだが気持ちが彼方に飛んでしまったのを見るのはまた辛い。どちらがいいか、と考えても答えは見つからない。両親の様になるにはまだまだ先と思っていたが、そうも言ってられない。どうやったら死に際を綺麗にできるか。と今から考えておこう。高齢化社会に入った今日、どう生きるか、どう死ぬかがこれからの大切なテーマとなっていると思えてきた。そのためにも精一杯一日一日を生きていかねばならない。PPK。憧れである。