ネルソンマンデラの微笑み
あの時、俺は仕事でロンドンいた。息の抜けない仕事が山積みで、毎日が真剣勝負。そう、いろんなものと俺は勝手に 敵を作っては戦っていた。そんなころ、ある弁護士事務所で見つけたパンフレットの彼の微笑みが、俺の胸をとらえた。(それを見た俺はある種の違和感さえ感じていたのだが。。。。。)ネルソンマンデラの微笑みは、あったかくて、愛情にあふれていた。「んーーーー、なんとも言えない味わい深い笑顔だなー。。。。」本物の笑顔がそこにあった。「いつから俺はこういう笑顔をわすれた?・・・」「んーーー、これが人の顔だよなー。」ひさしぶりに、懐かしい思いがした。パンパンにはりつめた俺の心にはなにか くすぐったいような・・・・素直に心に染み入ってこないような・・・でもなんだろうこの感じ。。。。。。。彼は28年間も牢獄にいた。黒人に対するひどい差別社会をなくそうと、立ち上がったからだ。終身刑を受けていた彼はその後、釈放。ノーベル平和賞を受け、南アフリカの初の黒人大統領となった。彼は、世界で最もひどいと言われた南アの差別社会をくつがえしたのだ。彼は、誰よりも戦ってきたはずの人なのにほんとうの笑顔をわすれていなかった。もしかしたら、彼は憎しみの先に、何かを見つけたのかもしれない。戦いの心を越えて、何かを解き放ったような・・・そんな笑顔に心惹かれる。その後も俺は、相変わらず笑顔なんか到底出ない毎日をすごしたが、パンフレットから切り抜いた「マンデラさんの微笑み」は、部屋に飾ったり、定期入れの中にいれたり、いつもいっしょにいてもらうことにした。あれから、三年が過ぎた。俺の笑顔はまだ、ぎこちないかもしれない。うすっぺらかもしれない。。。。ただ、すっかり、ぼろぼろになってきた「マンデラさんの微笑み」は、自分にとって、ずいぶん自然なものになってきたように思う。いつの日か、ああいう顔になりたいと密かに思う。