テーマ:暮らしを楽しむ(387911)
カテゴリ:習い事
朝起きた時から良いお天気だなぁと思っていたけれど、室内にいるとやっぱり少し肌寒かったです。
それで、今日は外へは出かけず、ずっと文字のお稽古をしていました。 まずは、万年筆で書く「硬筆」から。 使っているのは、この万年筆。2本とも、パイロットのエラボー万年筆のSF(ソフトファイン)です。筆圧によって、字幅が変わるのと、硬筆で出品するのに、ちょうど良いくらいの濃さになるようです。 ペン先は、普通の万年筆と違って、一回膨らんでから、また先に伸びています。この膨らみがミソみたい!! 普通にお手紙とかで使うときには、セーラーのキングプロフィットとか最高だし、とにかくヌルヌルサラサラ書きたい時には、モンブランやペリカンも捨てがたい。 でも、私の好きな太字や中字では、書いた物が黒々となりすぎるらしいです。 硬筆を何枚か書いた後、今度は墨を擦ってかな交じりの文章を書きました。 こちらも、うんと細いところとか、少し墨が切れてきて墨色が薄くなったところなどが表現できるように、細い筆で書いています。 料紙に書いているのは、百人一首です。今月のお題は 「音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖の濡れもこそすれ」 この和歌は、プレイボーイからの誘いを、ぴしゃりと断った小気味よいもの。 でも、この時、誘った男性は29歳で、歌を詠んだ女性はなんと70才だったそうですよ。 もちろん、実生活の中での話ではなく、「艶書合(けそうぶみあわせ)」という歌合せの時のこと。(1102年の5月) 貴族が恋の歌を女房に贈り、それを受けた女房が返歌をするという趣向で楽しまれた歌会でした。 その席で、29歳の藤原俊忠さんが贈ったのが 「人知れぬ思いありその浦風に 波のよるこそ言はまほしけれ」 (私は人知れずあなたのことを思っています。荒磯の浦風に波が打ち寄せるように、夜にあなたにこの思いを打ち明けたいものです) 周りの人たちも、どんな歌が返されるか、興味津々で待ったことでしょうね。 それに対する70才の祐子内親王家紀伊さんの返歌が 「音に聞く高師の浜のあだ波は かけじや袖の濡れもこそすれ」 表向きの意味(噂に高い高師の浜にむなしく寄せて返す波には、かかわらないことにしておきましょう。袖が濡れては大変ですからね。) 隠れた意味は(浮気者だと噂に高いあなたの言葉など、心にかけずにおきましょう。後で涙にくれて袖を濡らしてはいけませんから) 一つの言葉に二重の意味をこめて、プレイボーイのお誘いを断る歌が見事に出来上がっています。その場にいた貴族たちや女房たちは、大喜びしたのでしょう。 余談ですが、明治時代に、あの大久保利通公が、 「音に聞く高師の浜のはま松も 世のあだ波はのがれざりけり」 と詠まれたそうです。紀伊の歌の本歌取りですね。 明治時代に、高師の浜の松が、薪や材木としてどんどん伐採されているのを嘆いた歌だそうです。 他にも、派生歌がいくつもあるようですから、評判になったのでしょうね。 さて、これは、最近家で使っている小型の硯と仮名用の墨。 せっかく憧れの端渓の硯を買ったのに、もったいなくて使っていなかったの。でも、使わない方がもったいないので、昨年の暮れくらいからずっと使っています。 使うたびに、わくわく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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