土曜日の昼過ぎ、母が私を呼んだ。
行ってみると、「トイレがどこかわからん。」と言う。
手や脚は、もともとよろよろしていたけれど、
ちょっとずつリードしてトイレに連れて行ったら、
あとはちゃんと自力で用を足していた。
ただし、左側にあるウォシュレット操作のボタンが小さくて、
どれがビデなのか、それを止めるボタンはどこか、
そして、最後に全部を流すスイッチはどこにあるのか、よくわからないみたい。
水を出すボタンに、青い丸シールを張って、止めるボタンに赤のシールを貼ったら、
だいぶわかるようになった。
今度は、ペーパーの場所がよく見えないらしかったので、
直径3cmくらいの赤の丸シールをペーパーホルダーのふたに貼ったら、
その後はすんなり紙をとることができるようになった。
だけど、トイレが近くなっている母。
行きたくなって、なんとかトイレに行ったあと、やっぱりボタンがわからず私を呼ぶ。
その都度、「はい、ここ」と手を持って触らせたら、できる。
その繰り返しだった。
急に認知症がひどくなったんかねー、
と息子たちと話していました。
昨日は、少しいいみたいだったけれど、
それでも、トイレに行くのにやたら遠回りをする。
玄関を抜けて、仏壇の前に一度座り、踊りの稽古場まで行って、
そこから、狭い通路を抜けて衣装部屋の方へ行き、また椅子で休憩。
そして、トイレに行きたいのに、また手洗い場に入って、椅子で休憩。
そうして、ようやくトイレにたどりついて、用をたす。
そんな感じ。
本当は、台所のほうから行ったら、すぐにトイレの前に出るんだけどな・・・
でも、母がわかりやすい方法がいいよね、と、横からは口出しせず、
危なくないように、見守って、「そうそう、そこ。」
とか声をかけていた。
普通の話はできるし、杖があれば自分で歩くし、
棚やテーブル、いすの背などを伝いながら動き回って、
朝の歯磨きも髪の手入れも自分でやっていました。
そして、今日。
今日はコーラスの練習があったので、母の様子を見に行くと、
午前中はベッドで休憩しながらラジオを聴いていたので、
(私)「ちょっとだけ出てくるけん、昼から病院行こーね。」
と、声をかけて出かけました。
はい。
それで、午後二時に、かかりつけの病院で認知症が突然進んでないか診てもらっていたら、
「やっぱり、脳の検査をしておきましょうか。」
と言われ、その病院のすぐ近所の脳神経外科クリニックを紹介されました。
紹介状を持って、そのクリニックに行ったら、問診のあとMRIを撮り、
もう一度、画像を見ながらのお話。
なんと、脳梗塞だったらしい。
右の後頭葉の視覚をつかさどる部分がやられていたのでした。
この場所に異常があると、左目が見えなくなるんだって。
眼球に異常がなくても、脳の方で認識できないので、見えていないことになる。
そして、位置関係とかもわからなくなるらしい。
だから、トイレの場所がわからなくて、なかなかたどり着けなかったんですね。
そして、ウォシュレットの操作盤が左側についているものだから、なかなか見えなかった。
謎が解けました。
右側の視野には異常がないから、左が見えていないと気づかなかったようです。
入院しても、脳のダメージを受けた部分がよくなることはないけれど、
他の異常とか、いろいろ調べたり、これ以上進まないように治療が受けられるとかで、
入院した方がいい、という話になりました。
脳神経外科クリニックの先生が、今度は、
入院設備のある大きな脳神経外科病院に電話して入院の手配をしてくれたので、
そのまま、その病院に行きました。
昔住んでいた職員住宅の近所です。
そちらでも、また診察を受けて、また精度の高いMRI検査をして、
コロナの検査もしたら陰性だったので、入院できることになりましたよ。
今は、コロナ対策で、入院中は、一切面会できないそうです。
※予約すればタブレット面会はできるらしい。
病衣やタオルも、コロナ予防のため、有料で病院の物を使うことになるそうな。
だから、明日私が持っていくのは、下着類とかソックス、いつも飲んでいるお薬など。
その荷物も、入り口で警備の人に申し込んで、病棟の看護師さんを呼んでもらい、
入り口そばで渡さないといけないらしいですよ。
長くても二週間、という入院期間ですが、その間によく調べていただきましょう。
脳梗塞というと、体に麻痺が起きるイメージだったのですが、
母のような後頭葉梗塞だと、手足には関係ないんですね。
視野と位置関係の認識がダメになる。
両目とも見えなければ、さすがに気づくと思うけれど、
片目だけ見えていないのは、本人にもよくわからないみたいです。
というわけで、午後の一番で診察を受けたのに、
病院を三つまわり、入院が決まって、家に帰ってきたときは、もう夜の9時近くでした。
くたびれた・・・